従妹に好かれた俺の話
475. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 21:59:15 ID[U7zPRDwo]

熱が冷めて元気になった俺氏。


案外簡単に治った。


その後誠からの接触はなし。どうなったのかも知らないしどうなっても関係ないから放置。


いつもの平和な日常が戻った。


だがまたも事件が起こることになる。




従妹に好かれた俺の話
478. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:02:15 ID[U7zPRDwo]

ピンポーン


真夏の真昼。チャイムが鳴った。


夏帆が玄関に向かう。


玄関で誰かと何か話したあと戻ってきた。


葵をつれて。




従妹に好かれた俺の話
479. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:04:56 ID[U7zPRDwo]

一瞬ギクッとしたが祭りのことはあの日で解決してるし特に気にも止めなかった。


「お邪魔します」


「どうも」


「お久しぶりです」


「そんなたってないよw」


「ですねw」


よし普通に接すること出来てる。

今日は単に遊びに来ただけだという。

2人は上に上がっていった。




従妹に好かれた俺の話
481. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:07:37 ID[U7zPRDwo]

居間でいいともを見てる俺氏。


平和である。


上では女子会みたいなことをしているんだろうなーっと感傷に浸る。


この日葵はそれだけで夕方には帰った。


ホントにただ遊びに来ただけみたいだった。


何故かホッとした俺がどこかにいたよ。



従妹に好かれた俺の話
483. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:11:25 ID[U7zPRDwo]
「どう?楽しかった?」


「うん!葵はやっぱり面白いよ」



「そっか。よかった」



当然葵は夏帆に祭りのことを言ってない。


言うわけないか。


「先お風呂行ってくるね」


夏帆がお風呂に行った。


俺は自分の部屋に下着とかを取りに2階にあがった。

下着を取って降りようとしたとき。


異変に気付く。



従妹に好かれた俺の話
484. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:14:12 ID[U7zPRDwo]

机の上になにやら封筒が置いてある。


覚えがなかったので不思議に思う。


何も考えずに封筒を手に取る。


とっとへ


そう書かれてあった。

差出人は不明。


開いて中を見るとそこには紙が一枚。


葵からだった。




従妹に好かれた俺の話
487. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:16:27 ID[U7zPRDwo]

ゾクッと鳥肌が立つ。


なんでだ。いつ。今日?なぜ?


一気に動悸がして読み進めたくない。


ドキドキが止まらなくてそのまま紙を封筒に戻して見なかったことにして適当に隠した。


もう葵は俺の中でトラウマだった。



従妹に好かれた俺の話
489. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:19:26 ID[U7zPRDwo]

お風呂に入っても胸のつかえが取れない。


大丈夫だ。見なかったことにしよう。


夏帆が不思議に思って捨てたってことにしてそれでいよう。そうしよう。


納得させてその日は寝た。



従妹に好かれた俺の話
491. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:21:32 ID[U7zPRDwo]

次の日。


馬鹿な俺は封筒のことなどもう忘れてた。


いつものラジオ体操に行き帰宅。


夏帆の宿題はとっくに終わってたので各々自由に過ごす。


この日俺は眠たくて自室へ。


ベットで寝たくなったから。




従妹に好かれた俺の話
492. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:23:26 ID[U7zPRDwo]

部屋についてベットに倒れ込む。


はぁとひと息。


ふと机を見る。


あれ?


なんで封筒置いてあるんだ。


昨日隠したはずじゃ。


変な汗が出てきた。



従妹に好かれた俺の話
494. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:26:08 ID[U7zPRDwo]

また動悸がする。


俺の危険信号が大音量でヤバイと告げている。


ここは2階だぞ。いつ。どうやって。


俺はこころが痛い。


思いとは裏腹に封筒の目の前に立つ。


手にとって開ける。


差出人はもちろん葵。




従妹に好かれた俺の話
496. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:30:22 ID[U7zPRDwo]

もう逃げられない。逃げるわけには行かない。


手紙を読む。


内容は覚えてる範囲でコピーする。


とっとへ


どうも葵です。ビックリさせてしまってすみません。1枚目を見てくれてなかったみたいなのでこうしました。
簡単に言うと私はやっぱりとっとさんを諦められません。
いつも考えると胸が痛いです。
だからもう一度会って話をしたいです。
今夜あの神社に来てください。待ってます。


手汗が止まらなかったよ。




従妹に好かれた俺の話
498. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:33:07 ID[U7zPRDwo]

怖くなってそのままくしゃくしゃにして捨てた。


なんだあいつ。どうやってここに置いた。


もう半泣きよ半泣き。


どうする。神社に行くのか俺。


行くしかない。


それしかない。今度こそ決着をつけるんだ。



従妹に好かれた俺の話
502. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:37:54 ID[U7zPRDwo]

夜。


夏帆が寝たのを確認して家を出る。


田舎の夜道ってホント怖いんだよ。


おばけなんかより葵の方が怖いよ。


ドキドキしながら神社へ。


この神社も何度来るんだろう。


まだ葵は来てなかった。


「来てくれてありがとう」


振り返ると葵が立ってた。



従妹に好かれた俺の話
505. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:41:51 ID[U7zPRDwo]

やっぱり怖いよねうんー。


「私やっぱり諦めきれないの」


俺氏硬直。


「私とっとさんのためなら何だってする。何でもするよ?」



ん?


とか言ってる暇ねぇ。おれはそれをただ黙って聞いてた。


「とっとさんが望むならここでしてもいいよ。裸になってもいいよ。だから・・・」


「だからなに」


俺氏のターン。




従妹に好かれた俺の話
506. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:44:11 ID[U7zPRDwo]

「はっきり言ってお前はおかしいよ。二枚目の手紙どうやって机においた」


「それは・・・」


「それは?」


「とっとさんがラジオ体操行ってる間に」


「なんで1枚目読んでないってわかった」


「な、なんとなくよ」


「俺はお前が怖いよ」



「なんで・・・なんでなの・・・」


葵氏号泣。俺氏に慈悲はない。




従妹に好かれた俺の話
508. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:47:18 ID[U7zPRDwo]

「もう二度と関わらないでくれる」


「グスッ・・・・・・ヒック・・・」


「帰るね」


「・・・まって」


ここで俺氏狂気を感じる。


神社から出るには葵の隣を抜けていかなければならない。


「・・・まってよ」




従妹に好かれた俺の話
511. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:50:21 ID[U7zPRDwo]

なにかが葵の手に握られている。


それはハンマーだった。


ゴールデンハンマーかよぉ・・・


いや冗談じゃない。なんで女の子がハンマー持ってるの。


「それ・・・」


「付き合って・・・」


「え・・・?」


「付き合ってくれるよね・・・」


なんでヤンデレルート入ったんだろう。

脅されてます。ハンマーもって付き合ってくれるよねは脅しです。



従妹に好かれた俺の話
516. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:53:14 ID[U7zPRDwo]

ジリジリと近付いてくる。手にハンマーを持ちながら。


なにこのホラゲー。


俺は汗が止まらない。俺もゆっくりと後退する。


なんとかしないと・・・なんとかしないと。


とっさに走って逃げるか。いや逃げられない。後ろは神社。


アイシールド21のように葵の隣を抜けるしかない。



従妹に好かれた俺の話
519. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 22:58:02 ID[U7zPRDwo]

考えろ考えろ。どうすれば抜けられる。


何がある。何がある。


そうだ。


「・・・付き合ってくれるよね」


目に涙をためながらなおも近付く葵。


今だ。


葵に向かって一直線に走る。


葵はハンマーを振りかぶる。


その瞬間俺は神社の砂を思い切り巻き上げた。


葵が目をくらませたのを見逃さずに突き倒す。


ハンマーが落とされる。


死に物狂いで拾いに行き葵に構える。


かったッ!第三部完ッ!




従妹に好かれた俺の話
524. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 23:02:36 ID[U7zPRDwo]

葵はハンマーを持った俺に立ちすくむ。


「なんで・・・なのよぉ・・・!」


「ハァ・・・ハァ・・・」


「なんでなのよぉぉおおお!!!!」


葵は走ってくる。俺はハンマーを後ろに投げ捨てて葵を止めた。


結果的になんか抱きしめた形になった。


腕の中で嗚咽と泣き声で震える葵。


「ごめん」


それだけ言った。その後も葵は泣き続けた。


俺は泣き止むまでずっとそうしてた。



従妹に好かれた俺の話
528. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 23:06:33 ID[U7zPRDwo]

泣き止むのを見て離す。


「・・・・・・」


黙ってる葵にかける言葉を俺は見つけられなかった。


「・・・帰ろうか」



葵は何も言わなかったが俺に付いてきた。


葵の家は知っていたので送り届ける。


終始無言。


家に着くと葵は振り返った。


「もう二度としません・・・」


それだけ言って帰った。


ちょっと可哀想だなって思った。


俺も帰宅。


部屋には何も知らない夏帆が寝息を立てて寝ていた。


俺は隣で同じように寝た。




従妹に好かれた俺の話
536. とっと√【童貞マスター】 2014年5月26日 23:11:37 ID[U7zPRDwo]

朝。


なんか寝れなくてベットに横になってるだけの俺。


ボーっとしていると夏帆が起きた。


隣であくびをして俺のうえに乗ってくる。


「おはよう・・・」


「おはよう」


「今日は早起きなのね」



「ちょっとね」


夏帆は俺の上でパタっと倒れて言った。


「お疲れ様」


「・・・!?」


小六に頭をなでられる俺。


ちょっと涙出た。




従妹に好かれた俺の話
581. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:07:38 ID[U7zPRDwo]

夏休みも残すところとなったある日の出来事。


「ねぇとっと」


「なによ」


「あと少しで夏休み終わるよ」


「そうだな」


「あたしと会えなくて寂しいでしょー?」


「そうだな。寂しくなるなー」


「えへへー」


「嬉しいのか?」



「まぁねw」



「変な奴」



俺と夏帆との距離ははじめに比べ驚くほど近くなっていた。


さみしいのは事実だったし。



従妹に好かれた俺の話
582. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:10:56 ID[U7zPRDwo]

その夜。


お風呂にも入りいつものように自室へ。


そろそろ夏帆が来るかなっと思った時一階から怒鳴り声が。


夏帆が怒られたのかなーっと特に気にしない俺氏。


そしてうつらうつら寝そうになっていると夏帆のお母さんがすごい勢いで部屋に入ってきた。


「ど、どうしたんですか?」


「夏帆が出ていったの!探してくれない?」


「え!?」


どうやら喧嘩をしてそのまま出ていったらしい。


この家にいるとホントに色んなことが起こる。



従妹に好かれた俺の話
583. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:13:29 ID[U7zPRDwo]

俺もパジャマのまま外に飛び出す。


時間も時間。


田舎とはいえ心配。夏帆が行きそうな場所を手当たり次第に探して回る。


神社、学校。色々探し回るが見つからない。


ふとあの山のことを思い出す。


この時間にあの山に登るだろうか。


考えてる暇なんてなかった。

俺は山を目指して走った。



従妹に好かれた俺の話
584. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:16:26 ID[U7zPRDwo]

とんでもなく暗い。ホント真っ暗。


街灯なんてない。


恐怖さえ覚える山道をひたすらに登っていく。


目が慣れてくるがそれでも暗い。


サンダルできたのは間違いだった。


足に砂や泥がまとわりついてくる。なにより山道の地面の凹凸がダイレクトに足に伝わってくる。


もうすぐ頂上。



従妹に好かれた俺の話
586. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:20:08 ID[U7zPRDwo]

息も絶え絶えにたどり着いた頂上。


辺りを見渡す。


いない。


暗さも手伝っているのかどうかわからない。町の明かりも消えて暗闇に1人。


身震いがする。


立ち去ろうとしたとき。


「・・・・・・・・・グスッ」


誰かの声が。


声だけを頼りにその方へと歩く。


次第に見えてはっきりとする影。


それは見覚えのある姿だった。


「おまたせ夏帆」


「!?・・・・・・グスッ」



従妹に好かれた俺の話
590. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:24:43 ID[U7zPRDwo]

隣に同じように座り込む。


「グスッ・・・・・・よくわかったね」


「なんとなくね」


暗くて夏帆の輪郭すら滲む。


「嫌なことがあるとここによく来るんだ」


「そうなの?」


「うん。ここって真っ暗じゃん。なんか暗闇に落ちて心が落ち着くんだよなぁ」


「押し入れじゃダメなの?」



「ダメに決まってるでしょw」



笑い声。いつもの夏帆で安堵する。



従妹に好かれた俺の話
594. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:29:06 ID[U7zPRDwo]

「とっとと同じ都会に行きたいって言ったら反対されちゃった」


「それが喧嘩の原因?」


「うん。寂しいもん」


夏帆が手を握ってくる。冷たく小さい手で。


「とっといないとあたし・・・」


握る手の力が強くなる。


「あたしじゃなくなってしまいそう」


夏帆の気持ちは痛いほど手を伝わって俺の心に響いてくる。

鼻をすするその声も涙を含む。



従妹に好かれた俺の話
596. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:34:14 ID[U7zPRDwo]

「どうしようあたし・・・」


「どうしたいの」


「連れ出して欲しいよ。ここから。この町から」


「・・・」


言葉を見失ってしまう。俺には夏帆を連れ出す力も勇気も足りなかった。


だからこそ黙って夏帆の話を聞くことしかできない。


「あたしね。とっとが世界で一番好き」


聞いてしまいたくなかった言葉。


嬉しいはずの言葉。


それなのにそれは胸に深く傷をつけていく。


いけないことだとわかってる。


わかってるのに。


胸が痛い。



従妹に好かれた俺の話
600. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:39:07 ID[U7zPRDwo]

「俺は・・・」


「あたしのこと嫌い?」



「俺も夏帆が好きだ。でもそれは女の子としてじゃない。家族として。従妹として」


「そっか・・・」


「夏帆は可愛いし他にいい人が絶対に見つかる」


「そんなこと聞きたくないよ・・・」



暗くてよかったと思う。夏帆の顔を見なくて済むから。


「わかってたんだ。ダメなんだって」


「でもね」


「でも好きだったんだ」



きっと隣で声にならない泣き声をあげた夏帆は立ち上がる。


「ありがとう。聞けてよかった。お兄ちゃん」


涙に濡れながら笑った顔は確かに俺には見えた。



従妹に好かれた俺の話
604. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:42:21 ID[U7zPRDwo]

山道を2人手を繋いで帰った。


夏帆の手はずっと冷たく小さい。


力はなく指でかかっているだけの手は俺と夏帆の今の関係を物語っていた。


ミシミシと土を踏みしめる音とリリリという虫の声。


そんな山道を2人で手を繋いで帰った。


言葉は一つも交わさなかった。


交わせなかった。



従妹に好かれた俺の話
606. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:45:41 ID[U7zPRDwo]

いつもの家。


何度もくぐった玄関を抜けた。


夏帆の両親は泣きながら夏帆を抱き締める。


俺はそれを横目に2階にあがった。


俺の背中にありがとうと聞こえたが無視した。


文字通りベットに倒れ込んだ。


汗も乾かないまま。


山道を走ったその足のまま。


その夜から夏帆は2度と俺の部屋に入ってくることはなくなった。



従妹に好かれた俺の話
607. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:49:00 ID[U7zPRDwo]

8月31日。


まだ暑い猛暑の日。


俺は部屋で荷物をまとめていた。


何度も寝たベットに横になる。


色々なことがあった。忘れなれない夏になった。


夏を誰かがしぬほど楽しくてしぬほど切ないと言った。


それはそうだと思った。


楽しいこともやがて終わりが来てしまう。それが楽しければ楽しいほどに終わりは早く来てしまう。


中二の夏はとても短かった。



従妹に好かれた俺の話
608. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 22:52:40 ID[U7zPRDwo]

何度も登った階段を降る。


荷物を居間に置いて息をつく。


夏帆とはあれからほとんど会話をしていない。


姿を見ても言葉は交わさない。


俺は夏帆をあの山に置いてきてしまったようだった。


望んだことではない。がこうなることもどこか理解していた。


「そろそろ行くよ」


おばあちゃんが俺にいう。


荷物を抱えて玄関を出る。


乗ってきた小さな軽のトランクに荷物を乗せる。


「とっと」




従妹に好かれた俺の話
609. とっと√【童貞マスター】 2014年5月27日 23:00:47 ID[U7zPRDwo]

振り返らなくてもわかる何度も聞いた声はひどく懐かしい。


「夏帆」


いつもの夏帆が白いキャミソールを着てそこに立っていた。


「行っちゃうんだね」


「そうだね」


「どれくらいかかるの?」


「2時間半ぐらいだったかな」


「遠いね」


「そうだね」


夏帆は視線を落としてもごもごと口を閉ざす。


「ありがとうな夏帆。楽しかった」


「あたしもすごく楽しかった!」


必死に。夏帆はそれを伝えたかったようだった。


「次はいつ会えるかな」


「いつでも遊びに来て。また遊んで?」


「寂しいんだよな?」


「うんw寂しいもん」


何日かぶりの笑顔。ホッとした。


「じゃあ行くな」


「うん。また」


「また」


軽の後ろに乗り込む。


その小さな軽は玄関を抜けていってしまう。


振り返ると夏帆は玄関先で大きく手を振っていた。


俺は窓をあけてできる限り大きく手を振り返した。


夏帆が見えなくなる。


知っている景色がどんどん流れて消える。


俺はこの夏を絶対に忘れない。


     END



パカポン