【小説】ガンダムアライブ
seed 2014年1月21日 1:30:01 ID[NCScCrDq]
(暑い…なんたってこのゲームはこんなにリアルなんだ…)
俺、アゲハは砂漠にいた
タクラマカン砂漠上空を通過中に俺の乗っていたミデアがエンジントラブルを起こし、現在砂漠のど真ん中で整備を行っているというわけだ
(そもそもどうして…こんな…)
時は半年程遡る
【小説】ガンダムアライブ
2. seed 2014年1月21日 1:32:09 ID[NCScCrDq]
俺は部屋のテレビで新ゲームの特集番組を見ていた
─…さん、今度発売されるP.G.Fというゲーム機は一体どういうものなんですか?─
─P.G.Fというのは、最先端の技術を応用した永遠に遊べるゲームですね─
─というと?─
─とあるアニメに似たようなものですね、このヘルメット状の物を頭に被ると、実際にゲームの世界に降り立つことができるんですよ!更にそのゲームをどれだけ長い時間プレイしても、現実では全く時間が進んでおらず、ログアウト時にはログイン時と同じ時間というわけなんですよ─
─それは凄い画期的なゲームじゃないですか!けど先程例に上げたとあるアニメ見たいに、大量さつ人兵器になる心配はないんですか?─
【小説】ガンダムアライブ
4. seed 2014年1月21日 1:33:38 ID[NCScCrDq]
─その辺は大丈夫ですよ、このP.G.Fを開発した会社「ジャマー」は詳しい技術こそ公開してませんが、人をころせる程の電磁波を出したりはできない、と明確に発表していますからね、ちゃんと検査も受けてるようですし─
(……)
俺はテレビを見ながら疑問を感じていた
どうしてこんな凄い技術がゲームに使われたのだろう
いくらログインしても時間が経たないだなんて、真っ先に軍事技術等に使われそうだろうに
(まぁ…そんなことどうでもいいか…)
俺が一人で考えてる間もテレビは淡々とゲームの解説をしていく
【小説】ガンダムアライブ
5. seed 2014年1月21日 1:34:59 ID[NCScCrDq]
─ところで気になるソフトの方は?─
─まずソフトは3つ発売されるようですまず一つ目のソフトは…─
(なんだよ…スローライフ系じゃんか…)
テレビで説明された一つ目のソフトはいかにもDSでありそうなスローライフ系のゲームだった
二つ目のゲームもなんだかよくわからない育成ゲームだった
(やっぱ新ハードのソフトなんてこんなもんか…)
しかし3つ目のソフトが俺の心を鷲掴みにした
─3つ目のゲームは機動戦士ガンダムの世界を実際に体験できる、リアルな「戦争」を描いた作品です、このゲームでは一人の人間としてログインし、そこから連邦ジオンや傭兵民間人様々な生き方を体験でき…─
俺は全力でPCにダッシュしていた
そしていつもお世話になっているAmazonでP.G.Fとガンダムのソフトを注文した
在庫がないんじゃないかと心配していたが何故か大量に残っていた
後からわかったことだがこのゲームはオンラインで海外にも進出していて異常な程の売れ行きを示しているらしい
【小説】ガンダムアライブ
6. seed 2014年1月21日 1:37:01 ID[NCScCrDq]
それから2日後、家に届いたP.G.Fをコンセントに繋ぎメモリーカード状のものを差し込む
そして俺はP.G.Fを頭に被り目を閉じた…
目を開けてみると、目の前にホログラフィックの文字が浮かび上がった
─Welcome to GUNDAM world─
─Please input your PN─
俺はゲームで使い親しんだアゲハという名を打ち込んだ
すると一瞬画面が真っ暗になったあと、白い部屋の中に移動していた
ゲームでの俺の姿は現実の俺と同じ姿だった
おそらくP.G.F初期設定時に入力した個人情報から俺の事を割り出したのだろう
【小説】ガンダムアライブ
7. seed 2014年1月21日 7:32:43 ID[NCScCrDq]
そしてそのまま俺はゲーム内で1週間を過ごした…
俺は地球連邦軍のMSパイロットに志願し、新人パイロットとして就任した
感動と感激の嵐だった
昔から見ていたガンダムの世界に実際に降りたてる
目の前をMSが歩いている
俺は歓喜の中にいた…
この感動をリアルの知り合いにも伝えるために一旦ログアウトを考えた
ところが、P.G.Fゲーム全てに支給されているログアウト用の端末を操作してみたが、全くの反応がなかった
(故障か…?)
俺が周りのゲームユーザーに聞いてみようとしたところ、急に視界が暗くなった
「な、なんだ!?」
俺は360度暗闇の中にいた
それは周りのユーザーも同じようで、動揺の声が多く聞こえる
(なんだ…何が起こった?)
俺と周りのユーザーの疑問に答えるように、いきなり声が聞こえた
─ユーザーのみさなん、ようこそ、「戦争」の世界へ─
誰だ?何の声?ゲームスタッフ?
そんな声が周囲から聞こえる
【小説】ガンダムアライブ
12. seed 2014年1月21日 19:20:22 ID[NCScCrDq]
─私はゲームスタッフの「seed」です、皆さんは既にお手持ちの端末の反応がないことにお気づきと思います…それは私からの忠告をさせてもらうために、一旦皆さんの端末を使用できなくした為です─
「忠告…?ログアウトをしたら困る程の…?」
俺は思わず疑問を口に出していた
─皆さんは今この瞬間から端末からログアウト操作を行うと…皆さんは脳タヒ状態に陥るからです─
…………は?
─また、ゲーム内で現実でタヒに至る程の損傷を自身の体に負うとログアウト操作同様に皆さんは脳タヒ状態に陥ります─
つまり、ログアウトするかゲーム内でタヒねば現実でタヒぬってこと…か…?
「ふざけんな!!どっかのアニメじゃねぇんだぞ!!現実でタヒんだりするわけねぇだろうが!!」
─一応申し上げておきますが、何も現実でタヒぬわけではありません、あくまでも脳タヒ状態でありタヒぬわけではありませんので…更にP.G.Fは人を×すほどの電磁波を出すことは不可能ですが、脳の一部分を機能不全にする程度のことなら可能なんです─
周りから声が聞こえない
恐らく今の説明に唖然としているのだろう
【小説】ガンダムアライブ
13. seed 2014年1月21日 19:21:21 ID[NCScCrDq]
(確かに…テレビで見た時も人をころすのは不可能とは言っていたけど…そんなの…)
「そんなのただの屁理屈だ!!ふざけんな!!」
そうだ…屁理屈だ…そんなのが通るはずなんて…
─皆さんがどう思うかは御自由です、けどもこれは事実なのです…このゲームから安全にログアウトする方法は一つ、「戦争」がおわることです、どちらの軍が勝利しようが敗北しようが戦争が終わった時点で皆さんの安全なログアウトを保証します─
「そんな…戦争を終わらせるだなんて…どれほどの犠牲が…」
─私からの説明は以上です、それではリアルな「戦争」の世界をご堪能ください─
それから俺は元いた場所に戻って来た
あのseedとか言う奴の声は聞こえなかった
それからは周囲の喧騒で何があったかは覚えていない…
ただひたすら生きるために何をするかが頭に思い浮かび、それをただ実行してきた
その結果俺は今、こんな砂漠でミデアの修理待ちをしている
【小説】ガンダムアライブ
15. seed 2014年1月21日 22:25:04 ID[NCScCrDq]
アゲハ「はぁ…」
俺はミデアのブリッジで内輪をパタパタ扇いでいた
アゲハ「暑い…」
サンプル「なひあたりまへのほほいっへるんれふかたいひょう、さはくなんれふからあふいのはあはりまえれひょう?」
後ろから声をかけてきたのは俺の隊のオペレーターのサンプルだった
口にはアイスキャンディーを加えている
アゲハ「…なら冷房入れようぜ、そして物を食べながら喋るな、今のを聞き取れたのは奇跡に近かった」
サンプル「ん…暑いからアイスキャンディーを食べてるんですよ、そして冷房を入れないのは節電ですっ、隊長も協力してくださいっ」
アイスキャンディーを口からだしもう一つ手に持っていたアイスキャンディーをこちらに差し出す
アゲハ「全く…」
【小説】ガンダムアライブ
16. seed 2014年1月21日 22:29:11 ID[NCScCrDq]
俺はそれを受け取りながらコイツに何を言っても無駄だということを改めて悟った
俺はトリントン基地所属の独立小隊、通称『クリアスパーク』の隊長を努めている
隊長とはいっても、基地内の若い連中を邪魔だと考えている上の指示で作られた寄せ集めの部隊の隊長だ
歳もさほど離れていない
上の連中からしてみれば俺達の様な兵士は邪魔なだけだ
下される命令も捨て駒扱いの物が多い
それでも今日まで生きてこれたのはうちの隊員の腕前の良さといったところか
【小説】ガンダムアライブ
18. seed 2014年1月21日 22:54:06 ID[NCScCrDq]
気が付けばどのプレイヤーも自分を兵士として認識していた
ゲームという認識は消え去り戦争、ころし合いを繰り広げている
人は何でもすぐに慣れる
こんな異常な現状にも人をころすことにも
そして俺もそれに慣れかけていて、そんな自分を受け入れかけていた…
それは正しい事なのか…戦争を終わらせてゲームをクリアするためには人をころす行為を正当化しなければならないのか…
【小説】ガンダムアライブ
19. seed 2014年1月21日 23:16:56 ID[NCScCrDq]
ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!
俺の疑念を晴らすかのようにブリッジにサイレンが鳴り響いた
その音を聞きサンプルがオペレータ席に飛び移る
サンプル「レーダーに熱源あり!数一!輸送機クラスだと思われます!」
その報告を聞き俺の頭も切り替わる
アゲハ「周りに機影は?」
サンプル「ありません、こちらはミデアのエンジンを切っていたし敵に発見されてる可能性は低いと思われますが…」
アゲハ「万が一ということもある、俺が先行して囮になる、敵をミデアから引き離したあとかやまのジム・コマンドで挟撃する!」
サンプル「り、了解しました!」
アゲハ「ミデアの修理状況は?」
サンプル「早くてもあと2…いえ、30分はかかりそうです」
アゲハ「急がせろよ!俺のジムコマンドライトアーマーは出せるな?」
サンプル「はい!いけます!」
アゲハ「OK…出撃する!!」
俺はブリッジを飛び出し格納庫へ走り出した
【小説】ガンダムアライブ
27. seed 2014年1月22日 21:36:42 ID[NCScCrDq]
俺は格納庫につくなり片膝をついているMSのコクピットに飛び乗った
アゲハ「かやま!出撃準備はできてるか!」
後ろのジム・コマンドに乗っているパイロット、かやまに問いかけてみる
かやま「はいはい大丈夫いつでも準備よろしよ、隊長さんー早く前に出て敵を引きつけて下さいよぉ 」
アゲハ「わかっている、行くぞ!」
俺は操縦桿を押し倒し機体を動かす
ミデアの外に出てからペダルを思い切り踏み込み、敵の確認できる位置にダッシュする
しばらくしてから遠目にジオン輸送機、『ファットアンクル』の姿が確認できた
俺に気付いて進路を変えてくれれば嬉しいが…
俺の祈りが届いたのか、ファットアンクルは進路を変えミデアとは遭遇しないルートに迂回し始めた
アゲハ(ふぅ…これでミデアの無事は確保できた…)
が、それほど現実は甘くなかった
迂回したファットアンクルから二機のMSが降下するのが見えた
ザクⅡが二機こちらへ向かってくる
アゲハ(チッ…帰る場所だけ確保してきっちり俺を墜としに来るか…)
撃ちたくない、が、撃たなければ撃たれる
【小説】ガンダムアライブ
28. seed 2014年1月22日 21:41:13 ID[NCScCrDq]
俺は機体に右へと反れたファットアンクルを追撃する素振りをとらせる
あくまでも素振り、だ
案の定敵はファットアンクルを撃たせないために俺を追ってくる
これでかやまが敵の背中を取れる形になった
俺はミデア付近で待機しているかやまに連絡する
アゲハ「かやま!敵をひきつけた!挟み込むぞ!」
かやま『了解ぃ!行くぜ!』
ミデアの方角からかやまのジム・コマンドがダッシュしてくる
俺は機体を敵へ振り向かせ右手に装備しているビームガンを牽制で一発撃つ
敵は一瞬驚いたような素振りを見せたがすぐにこちらへとザクマシンガンを向ける
が、その頃にはかやまがザクⅡ二機を射程に捉えていた
かやま『おらおらおらぁぁ!!』
かやまのジム・コマンドがブルパップマシンガンを乱射しながらザクⅡ二機へと近づいて行く
それに気づいた敵が対応しようとするが、遅い
かやまの方へと機体を向けた時には一機は既に全身に穴を開けそのまま後ろ向きへと倒れ込む
【小説】ガンダムアライブ
29. seed 2014年1月22日 22:22:41 ID[NCScCrDq]
もう一機のザクⅡはかやまの撃った弾がザクマシンガンに命中して破損していた
飛び道具を失った敵はヒートホークを抜き放ちこちらへと突っ込んでくる、後ろから撃たれることも構わないようだ
アゲハ「命を大切にしろよ…!」
俺は機体の左手でビームサーベルを抜いた
突っ込んでてきたザクⅡがヒートホークを横薙ぎに振るう
俺はそれをバックステップでかわし、ビームサーベルを振るった
俺の繰り出した斬撃はザクⅡの胴体を左上から右下へと切り裂いていた
そして、もう一度バックステップ
次の瞬間には敵の機体は大爆発を起こしていた
【小説】ガンダムアライブ
30. seed 2014年1月22日 22:26:17 ID[NCScCrDq]
アゲハ「ふぅ…こちらアゲハ、敵MS二機撃墜を確認…輸送機は戦線離脱…」
ミデアへの報告をし、ザッというノイズと共にサンプルの声が聞こえる
サンプル『了解、お二人とも帰投してください…というか隊長、何ですか今の戦い方はぁ…』
アゲハ「え?」
今の戦い方の何処かがまずかっただろうか、戦略的にも何の問題もないとおもっているが…
サンプル「その接近戦を仕掛ける癖、どうにかしてくださいよぉ…相手が飛び道具がない時点で敵を切り離して遠くから安全に射撃したらいいじゃないですかぁ…」
このゲームでは圧倒的に接近戦を好むものが少ない
理由としては、タヒに対する恐怖と被弾増加を恐るためである
普通のゲームとは違い接近戦をしかけるのはリスクが高い、よって殆どのパイロットが射撃戦を好む
【小説】ガンダムアライブ
31. seed 2014年1月22日 22:36:32 ID[NCScCrDq]
アゲハ「あいや…すまん…この癖ばっかりはどうも…」
かやま『まぁそうカッカすんなよサンプル〜?生きてるんだからいいじゃんかよ、なぁ隊長?』
サンプル『タヒんでからでは遅いから言ってるんです!そもそもかやまさんの戦い方もおかしいですよ!なんでわざわざ突っ込むんですか!』
かやま『ヒットアンドアウェイってやつさ☆彡』
サンプル『何が「☆彡」ですか!馬鹿なんですか!?』
かやまとサンプルの口喧嘩ともとれるやり取りを聞きながら考える
確かに、俺はもう少し安全な戦い方を覚えた方がいいかもしれない…タヒなない戦い方を…
アゲハ「二人ともその辺にしておけ、これより帰投する」
かやま『へいへい』
サンプル『りょーかぁい…』
取り敢えずシャワーを浴びたい
砂漠はMS内にいても暑い
俺はミデアへと帰投を始めた
【小説】ガンダムアライブ
38. seed 2014年1月24日 22:37:36 ID[NCScCrDq]
──────────
りゅん「隊長さぁーん」
ミデアに帰投しコクピットから降りたところで低めの声が響きわたった
声のした方を振り返ると整備士のりゅんがすすまみれの格好で歩いてきた
りゅん「隊長さん…やっとミデアの整備終わりましたよ…これでオーガスタ基地まで飛べますぜ」
彼の名前はりゅん猫
本当は宇宙軍所属のMSパイロットで大佐だった
しかし実績を残しているにも関わらず上から支給される機体がボールのみであった
そのことに対し軍本部に異議を唱えたところ上の怒りを買い、階級を軍曹にまで下げられた挙句地球に飛ばされ『クリアスパーク』に転属、整備士として頑張ってくれている
アゲハ「おぉ、助かる!本当ならタクラマカンなんて通るはずじゃなかったんだがな…」
りゅん「隊長…その話はよしましょうぜ…皆の気が沈みますわ…」
アゲハ「あぁ…すまないな…つい…」
【小説】ガンダムアライブ
39. seed 2014年1月24日 22:38:35 ID[NCScCrDq]
本来なら俺達はトリントン基地から南下し、北米のオーガスタ基地で新機体、パイロットを補充し「アリゲイタキル」作戦に備える予定だった
が、上からの命令でタクラマカン砂漠で敵の襲撃にあい遭難している部隊がいる、救援に向かえ
との指示を受けタクラマカン砂漠へと向かった
俺達が遭難ポイントへ着いた頃にはそこには二機のMSの残骸と戦闘の跡があった
念の為にコクピットを確認してみたところ、そこには無惨にもミンチより酷い姿になった人の姿があった
その日はサンプルが「ちょっと一人にしてください…泣き顔見られたくありません…」と言って部屋に篭ってしまったのでやむなく砂漠で一晩を過ごした
その日はサンプル以外の隊員も落ち込んで「助けられなかった、間に合わなかった」と一様に口にしていた
俺も例外ではなく自責の念にかられていた
夜が明け、オーガスタ基地へ飛び立とうとしたところエンジントラブルを起こし仕方なく整備、そして先程の戦闘から今に至る
【小説】ガンダムアライブ
40. seed 2014年1月24日 22:46:25 ID[NCScCrDq]
りゅん「やっぱりこういうのは慣れないもんですな…」
アゲハ「そうだな…戦争なんてしたくないよな…」
りゅん「戦争を終わらせるために人をころす、嫌なゲームですわ…」
アゲハ「全くだ…」
今でも俺は人をころす事に抵抗がある
自分が生きる、戦争を終わらせるための仕方が無いことだと思ってはいても到底慣れるものではない
りゅん「まぁそんなことを戦場で考える奴がタヒんでいくんでしょうね…躊躇ったら撃たれてしまう…だからやられるまえにやる…」
アゲハ「りゅん…それを現パイロットの俺に言うのはよしてくれ…」
りゅん「おっとすいやせんね、人事だとどうも気を使えなくなってしまうもんでね」
頭をポリポリ書きながら申し訳なさそうに言う
アゲハ「ま、仕方ないか…そんじゃさっさとオーガスタ基地へ向かいますか」
りゅん「了解ぃ」
りゅんはニッと笑いながら敬礼をした
【小説】ガンダムアライブ
47. seed 2014年1月25日 0:08:17 ID[NCScCrDq]
─────────────────
マイア砲「ふわぁ…」
あくびがでる、とまらない
眠い…もっと寝ていたい…
なんで作戦開始時刻が明け方の4:00なんだ
俺達パイロットは自分の命をかけて戦っているんだぞ
少しくらい休ませてくれたっていいだろうに
紙者「そこ!あくびしてんじゃねーよ!」
マイア砲「さーせん…」
俺はジオン軍奇襲専門部隊『デリートペイン』所属パイロット
今はギャロップのブリッジで作戦会議を行っている最中だ
紙者「大事な作戦前だろうがよ?やる気ねーんなら前に出て盾にでもなってくれよ、あぁ?」
マイア砲「うっせぇな…」
朱希羅「二人ともやめてください騒々しいです、隊長はさっさと作戦内容を伝えてください」
紙者「ちっ…調子に乗りやがって…今から俺らは連邦軍北米拠点キャリフォルニアベースに奇襲をかける」
朱希羅「キャリフォルニアベース…ですか?」
【小説】ガンダムアライブ
50. seed 2014年1月25日 0:10:33 ID[NCScCrDq]
紙者「あぁそうだ、なんでも連邦軍がジャブローを奪還するためにアリゲイタ…?なんとかっていう作戦を立ててるらしくてよ、その為にキャリフォルニアベースに奇襲をかけてジャブロー奪還の戦力を裂くってわけだ」
朱希羅「成程…キャリフォルニアベースを落としてしまえば連邦は地球での主要拠点をほぼ失い、仮に落とせなくてもジャブロー防衛が楽になる、と…」
紙者「まぁそういうこった」
このゲームが始まってから1ヶ月
地球連邦軍の主要拠点ジャブローがジオンの手に渡った
ミリオタ等の所謂「戦争オタク」の割合がジオンの方が多く、ゲーム慣れしていない連邦プレイヤーは為すすべもなくタヒんで行きジャブローがジオンの手に渡ることになったということだ
ジャブロー入手から4ヶ月
ようやくジャブローの整備も整ったところだがまだまだ不安要素も多く、そこを連邦に突かれると痛手を被ってしまう
今回の作戦はその為防衛策だろう
【小説】ガンダムアライブ
53. seed 2014年1月25日 0:16:09 ID[NCScCrDq]
紙者「まず俺がイフリート・ナハトで先行して敵の施設を破壊する、そのあとマイア砲がドム・トローペンで俺と一緒に防衛に出てきたMSを攻撃する」
朱希羅「僕は?」
紙者「朱希羅はアッガイで海側から奇襲をかける、ステルス性の高さを生かした仕事だな、アッガイは対MS戦闘力は低いから俺とマイア砲で極力MSを引き付けておく、その間になるべく敵施設を破壊しておいてくれ」
朱希羅「了解」
紙者「5:00になった時点で全機撤退、ポイントG7で待機しているギャロップに合流する、いいな?」
朱希羅,マイア砲「了解」
ナギ「もうすぐ作戦開始ポイントに到着します、みなさんMSにて待機をお願いします」
オペレーターのナギが淡々とした口調で告げる
紙者「あぁ、わかった、いくぞお前ら」
朱希羅「アッガイでどこまでやれるか…」
紙者「あぁそれとマイア砲」
椅子から立ち上がり、MSに向かおうとすると声をかけられた
紙者「間違っても俺の足引張んじゃねぇぞ…もしそうなら後ろからてめぇを撃つ」
マイア砲「わかってますよ…隊長さんッ」
精一杯の皮肉を込め返事をしておいた
【小説】ガンダムアライブ
56. seed 2014年1月25日 0:41:14 ID[NCScCrDq]
──────────────
紙者『そんじゃ…いくぞお前ら』
朱希羅『了解』
マイア砲「…了解」
海の側で待機しているギャロップから三機のMSが出撃する
朱希羅のアッガイはそのまま海に潜行していく
紙者『マイア砲、俺が先に行く…何かの爆発を確認したらお前も来い』
あぁそうか、イフリート・ナハトにはジャミング機能があるんだっけか…レーダーに映らないとかなんとか
紙者『折角のジャミング機能を無駄にはしたくないからなぁ…』
マイア砲「わかったよ…」
紙者『なんなら来なくてもいいがな、俺一人で十分だ』
そう言い残し紙者のナハトが敵基地へ向かっていく
今頃朱希羅も海側から回り込んでいるところだろう
【小説】ガンダムアライブ
57. seed 2014年1月25日 0:41:42 ID[NCScCrDq]
マイア砲「……」
俺がこのゲームを始めたのは、強くなりたかったからだ
ガンダムの知識なんでかじってる程度だ
けど、リアルな戦争を体験すれば、現実でも強さを身に付けられるんじゃないか
そんな思いでゲームにログインしてみればこの有様だ
マイア砲(全く…)
周りの人間は面倒なやつらばかりだ
特にあの隊長、「紙者」とかいうやつは一番意味がわからない
大した腕もないのになんで隊長をやってるんだ
マイア砲「かったるい…」
いっそのこと後ろから撃って戦タヒにしておいてやろうかと考えてた時に、遠くから爆発音が聞こえた
恐らく隊長()が言ってた合図だろう
マイア砲「さっさと終わらせよう…」
俺は機体を爆発音の方へ向かわせた
【小説】ガンダムアライブ
59. seed 2014年1月25日 1:02:01 ID[NCScCrDq]
戦闘地点に到着すると、丁度隊長のナハトがジムを撃墜しているところだった
俺も戦列に並びバズーカで敵を撃ち始める
紙者『なんだ結局来たのかよ…』
俺に気づいた隊長が心底面倒くさそうに呟く
マイア砲「作戦だからな」
紙者『チッ…』
舌打ちしながら正面に現れた陸戦型ガンダムにクナイを投げつける
クナイは頭部を貫きそのまま誘爆させ敵を撃墜する
紙者『おめーは援護でいいからな、間違っても前に出るなよ』
マイア砲「わかったようぜぇな…」
【小説】ガンダムアライブ
61. seed 2014年1月25日 1:02:51 ID[NCScCrDq]
隊長の言動にイライラしつつも、俺もバズーカで敵MSを吹き飛ばす
見渡せば周りには5,6機のMSが集まっていた
紙者『連邦主要拠点つっても朝方だし出せる機体はこんなもんか、そろそろ朱希羅のアッガイが上陸してる頃だが…』
丁度そう呟いた時、反対の海側から爆発音が聞こえた
紙者『無事行けたようだな、俺らもこいつらを片付ける、援護しろ』
マイア砲「了解……」
紙者のナハトがブレードで切り込み、陸戦型ジムの胴体を横に真っ二つにする
その後ろをとろうとするジムを俺が牽制、怯えた様子を見せたジムを紙者のナハトが叩き切る
二機撃墜したと思うと周りには更に敵が増えていた
ここまで作戦開始から15分が経過
あと45分…時間稼ぎに徹してみせる
【小説】ガンダムアライブ
63. seed 2014年1月25日 1:32:30 ID[NCScCrDq]
──────────────
作戦開始から50分が経過
敵MSも計10機近く墜とした
紙者『そろそろ撤退だな…ナギ、朱希羅に撤退の指示を出してくれ』
ナギ『了解しました、朱希羅さん撤退を……待ってください、隊長!高速でそちらへ接近する機影あり!かなり早いです!』
紙者『なに…?』
ナギ『まもなく戦闘地点へ入ります!目視できる距離にいます!』
マイア砲「そんなに速い機体が…?」
よく見れば遠くから一機の蒼いMSがこちらに接近してくる
紙者『マイア砲!お前は周りの敵を牽制しろ!俺があいつを叩く!』
マイア砲「あ、あぁ…」
俺は武器をマシンガンに持ち変え、他の機体へと弾をばらまく
【小説】ガンダムアライブ
64. seed 2014年1月25日 1:34:45 ID[NCScCrDq]
見れば敵の「蒼い奴」はナハトのすぐ傍まで迫ってビームサーベルを抜いている
紙者『ナハトに格闘戦を挑むなんて…生意気なんだよぉ!!』
紙者がナハトに両腕でブレードを振らせる
が、次の瞬間
ナハトの両腕が中に舞った
紙者『………は?』
見れば「蒼い奴」がサーベルを振り終わっていた
マイア砲(いつの間に…!?)
剣筋が見えなかった、早すぎる
マイア砲「マズイ…!隊長逃げろ!」
俺の叫びも遅く、「蒼い奴」はナハトの胴体にサーベルを突き刺す
紙者『う…うぁぁぁぁぁぁぁ!?』
紙者のナハトが盛大に爆発を起こした
マイア砲「隊長…!あのバカ!」
調子に乗ったことをするから…
【小説】ガンダムアライブ
65. seed 2014年1月25日 1:36:48 ID[NCScCrDq]
俺が既に亡き人に暴言を吐いてると、たったいま隊長をころした「蒼い奴」がこちらに振り向いた
マズイ…
やられる…
逃げなければやられる…
ナギ『マイア砲さん!急いで撤退してください!!朱希羅さんは合流ポイントに到達しています!急いで!』
ナギの声で我に帰った俺はブーストペダルを踏み込み急いで機体をその場から去らせる
なんなんだよアイツは…!
「蒼い奴」は追ってこない
無駄な追撃はしないようだ
マイア砲「…くそ!!」
コンソールパネルを思い切り殴った
隊長がやられた
大した腕ではないが決して戦い方は下手ではなかった
それがあそこまで圧倒的にやられた
マイア砲「畜生…」
俺は一人、戦場から逃げるMSのコクピットで自分の弱さを嘆いた
【小説】ガンダムアライブ
77. seed 2014年1月25日 23:20:50 ID[NCScCrDq]
────────────────────
俺達は砂漠を飛び立ちオーガスタ基地へ向かった
最短ルートを通るために通過した海上ではサンプルが「エンジントラブルを起こしませんように…カナヅチなの…」と必タヒで祈っていた姿が印象に残っている
1枚写真に収めておいた
途中小規模な戦闘もあったが、俺達はなんとかオーガスタ基地に到着した
かやま「う…あぁぁ…ようやく着いたぁ…狭い機内暮らしで運動不足だわぁ…」
かやまが背伸びをしながら言う
サンプル「もう海上は嫌です…地べたで暮らしたい…」
その時ミデアのオペレーター席に通信が来た
サンプル「ん…?隊長、オーガスタ基地司令部から出頭要請がかかってますよ」
アゲハ「え?」
到着早々何の用だろうか
こちらも長旅で疲れてるというのに
アゲハ「まぁ…仕方ない行くか…」
かといって文句を言っても仕方が無いので基地司令部へと出向くことにする
時刻は夕方、ミデアの外に出てみると外は綺麗な夕焼け色だった
この景色を女の子と一緒に見ることが出来たらどれほど嬉しいことか…
アゲハ(……アホらし)
俺は余計な考えを捨て司令部へ足を運んだ
【小説】ガンダムアライブ
89. seed 2014年1月26日 23:11:38 ID[NCScCrDq]
───────────────
アゲハ「失礼します!」
俺は指令室のドアをノックし扉を開けた
TTY「遅い…いつまで私を待たせる気だね?」
アゲハ「は、申し訳ありません」
オーガスタ基地最高指揮官TTY司令
あまりいい噂は聞いていない
ここへ俺が呼ばれた事も悪い予感しかしない
TTY「ふん…まぁいい…お前をここに呼んだのは他でもない、新機体とパイロットの補充の件についてだ」
アゲハ「は、はぁ…」
TTY「実際のところ、我が基地もジャブローが落ちたことで結構厳しい状況でね、そんなにいい機体は支給できないのだよ」
アゲハ「…………」
TTY「そういうことでだ、君達に支給する機体は…」
【小説】ガンダムアライブ
90. seed 2014年1月26日 23:43:18 ID[NCScCrDq]
──────────────────
かやま「はぁ!?B.D.1にジムスナイパーカスタムだとぉ!?」
俺はミデアに戻り、格納庫で支給機体とパイロットのことを皆に伝えていた
りゅん「おいおい…仮にもオーガスタ基地だろ?アレックスやらジムカスタム程度の機体は支給してくれてもいいだろうに…」
サンプル「何考えてんですか司令部は…」
アゲハ「いやぁ…何でもな、『お前らみたいな寄せ集め部隊に高コスト機体は支給できない』だそうだ…」
かやま「くそ…司令部の奴らふざけやがって…! 」
アゲハ「ま、まぁ落ち着けよ…そんなに悪い機体ってわけでもないだろ?」
かやま「まぁそうだけどよ…」
実際B.D.1もジムスナイパーカスタムもどちらかといえば高性能なほうだ
B.D.1は基本性能こそ陸戦型ガンダムと大差はないが『EXAMシステム』の恩恵が大きい
それに単独行動が多いうちの隊に狙撃MSは有り難いと言っていい
サンプル「そういえば隊長、パイロットの方は…?」
アゲハ「あ、あぁそうだったな…そろそろ来ると思うんだが…」
その時格納庫に張りのある声が響きわたった
【小説】ガンダムアライブ
91. seed 2014年1月26日 23:44:52 ID[NCScCrDq]
シブカワ「失礼します!」
声の主はキビキビとした動作でこちらへと歩き敬礼をした
シブカワ「本日付でトリントン基地所属独立招待『クリアスパーク』に転属となりました!」
見た目は…やはりというべきか、10代
いかにも真面目そうな整った顔立ちをしている
かやま「ようこそ使い捨て部隊へ」
アゲハ「かやま…!」
吐き捨てるように呟いたかやまを軽くたしなめる
アゲハ「いやすまない気にしないでくれ、俺が隊長のアゲハだ…よろしくな」
シブカワ「シブカワです、宜しくお願いします!」
アゲハ「あーそんなかしこまらなくていいぞー…この隊の状況的に身が持たなくなるぞ」
シブカワ「はぁ…」
シブカワはイマイチ状況を把握していない表情だ
恐らく上から何の情報もなしに転属命令が下ったのだろう
【小説】ガンダムアライブ
92. seed 2014年1月26日 23:45:34 ID[NCScCrDq]
サンプル「シブカワさん!私サンプルよろしくね!ところでシブカワさんのMSって?」
シブカワ「よ、宜しくお願いします…自分のMSはジムキャノンであります」
りゅん「そういうことか…」
シブカワ「?」
アゲハ「どういうことなんだ?りゅん?」
りゅん「ここオーガスタ基地でもMSは製造されている、そしてつい最近そのラインナップに『量産型ガンキャノン』が追加されたようだ…つまりは、旧型使いが邪魔ってことだろうよ…それで転属命令が出されたんだろう」
シブカワ「そんな…そんな理由で…」
かやま「やっぱり使い捨て部隊じゃねぇか…」
真剣に落ち込むシブカワに釣られてかやまも肩を落とす
アゲハ「ま、まぁこれから同じ隊員としてやっていくんだからさ、よろしく頼むな」
シブカワ「は、はい!」
アゲハ「そうかしこまらなくていいさ…」
俺は苦笑を交えてそう言った
俺の対応にシブカワは不思議そうな顔をしていた
【小説】ガンダムアライブ
109. seed 2014年1月29日 0:30:07 ID[NCScCrDq]
───────────────────
アゲハ(ぐぁ…眠い…眠すぎる)
時刻は四時
オーガスタ基地での用を終えた俺達はトリントン基地へ1度帰投すべくミデアの発進準備を勧めていた
何故こんな朝早くからかというと
TTY『ほかの部隊がいても邪魔なんだがねぇ…君達はいつ帰るんだい?』
とのことなので早めに出発することにした
今俺は新しい俺の機体、B.D.1のコクピットで機体を自分用に調整をしていた
かやまとシブカワもそれぞれ自分のMSを弄っているはずだ
アゲハ(サーベルの出力をもう少しあげるか…銃は実弾を使って後衛はかやまとシブカワに任せるとして…問題なのは…)
EXAMシステム
B.D.1頭部に搭載されているモビルスーツ用特殊イン ターフェイスシステム
これを起動することによって一般兵の能力をニュータイプ並までに引き上げることができるという
しかし原作通り暴走の危険性というリスクもある
さらには、
アゲハ「ニュータイプなんて…いるはずないよな…」
あくまでもゲームシステム上でのニュータイプ並の動きができるだけなので、正直な所あまり期待していない
【小説】ガンダムアライブ
110. seed 2014年1月29日 0:30:47 ID[NCScCrDq]
アゲハ(ま、保険ってところか…)
その時だった
サンプル『た、隊長!』
コクピット右上のモニターに慌てた様子のサンプルが映る
アゲハ「ん?どうした?」
サンプル『え、ええとですね、その、あの…!』
TTY『ええいまどろっこしい!わたしから説明する!』
すると今度はコクピット左上のモニターにイラついた素振りを見せる司令がいた
アゲハ「司令?どうなさったんですか?」
TTY『つい先程、キャリフォルニアベースからジオンの奇襲を受けたとの報告が入った』
アゲハ「…!!まさか…ジオンのキャリフォルニアベース進行戦が始まったんですか!?」
TTY『いや、敵の数は少なく拠点を落とせるようなものではない、恐らく陽動か何かだろう』
アゲハ「そ、そうですか…」
それならひとまずは安心だ
ただでさえジャブローが落ちているのにキャリフォルニアベースまで落ちたら連邦は本格的に戦争に負ける
TTY『が、キャリフォルニアベースの部隊は新兵も多くこの時間ということもあり前線が総崩れでな、先程キャリフォルニアベースから応援要請が来たのだよ 』
アゲハ「……」
【小説】ガンダムアライブ
111. seed 2014年1月29日 0:31:26 ID[NCScCrDq]
わざわざ他の基地に応援を求めるほど被害なのか
少し不安になってくる
TTY『しかし応援に向かおうにも今こちらは出せる部隊がないのだよ…そこでだ、キャリフォルニアベースの応援には君達が向かってくれ』
アゲハ「我々が…ですか?」
TTY『そうだ、君達は丁度出発するところだったろう?いいタイミングじゃないか、トリントン基地に戻る前にキャリフォルニアベースに寄って行ってくれ 』
まるで学校帰りにコンビニに寄れ的な物言いだ
さらに出発を強いたのはそちらだろうに
しかも同じ北米といってもここからキャリフォルニアベースまでどれほど時間がかかると思っているんだ
しかしそういったところでこの司令の性根は変わらない
腐ったものは戻りはしない
アゲハ「…了解しました」
俺は渋々了解を出した
TTY『うむ、頼むぞ』
それと同時に左上モニターが消える
【小説】ガンダムアライブ
112. seed 2014年1月29日 0:31:50 ID[NCScCrDq]
サンプル『隊長…』
右上モニターではサンプルが複雑そうな顔をしている
俺はそれに無言で首を振るしかてきなかった
しかしいつまでこんな事に萎えていても仕方ない
やるしかない
アゲハ「かやま!シブカワ!機体の調整を急がせろ!サンプルはすぐにミデアを出せ!向こうへ向かいながら戦闘準備を行う!あまり時間はない、急ぐぞ!」
俺の指示で全員がドタバタと動き始める
皆にはいつも頑張ってもらっている
一度休暇でも申請してみるか…
そんなことを考えながら俺は叫んだ
アゲハ「クリアスパーク隊、出るぞ!」
【小説】ガンダムアライブ
116. seed 2014年1月29日 20:43:23 ID[NCScCrDq]
─────────────
俺の想いに応えてくれたかのように、B.D.1は凄まじい速度でキャリフォルニアベースへ到着した
その頃には既に4分が経過している
アゲハ「あと60秒…いけるか…!」
俺はなんとかキャリフォルニアベースに到達した
周りには破壊された施設や鉄の塊となったMSの残骸が目立つ
アゲハ「くっ…」
俺は込み上げる思いを堪え、敵の姿を探す
すると今にも味方のジムを撃破した2機のMSを見つける
イフリート・ナハトにドム・トローペン
【小説】ガンダムアライブ
117. seed 2014年1月29日 20:44:06 ID[NCScCrDq]
アゲハ「そうか…ナハトのジャミング機能のせいで前線が混乱して…」
俺は瞬時に理解しナハトへと真っ直ぐ向かう
こちらに気付いたナハトがブレードを両手で構え対峙する
俺はB.D.1にビームサーベルを抜刀させナハトへと飛び込む
相手もそれに呼応しこちらへと飛び込んでくる
ナハトがブレードを振った
俺はそれを軽々としゃがんでいなし、
相手がブレードを空ぶった瞬間にサーベルを下から斬り上げナハトの両腕を斬り飛ばす
正直俺は驚いていた
本当なら相打ちも覚悟していたが、B.D.1は俺の予想を超えるスピードで動いてくれた
アゲハ(これがEXAMの力…!)
ナハトが何が起こったか分からないという様で呆然としている
俺はその隙を逃さずサーベルをナハトの胴体に一突きにした
そしてサーベルを抜いて機体を一歩下がらせると次の瞬間ナハトが大爆発を起こした…
アゲハ(残り…一機!)
俺がドム・トローペンの方に向き直ると、敵は一目散に逃げ始めた
──EXAMSYSTEM SHUTDOWN──
その瞬間EXAMシステムの限界時間を告げるアナウンスが流れた
アゲハ「追撃は無理か…」
【小説】ガンダムアライブ
118. seed 2014年1月29日 20:44:37 ID[NCScCrDq]
何とか敵は撃退した
だが、やはり被害は出てしまった
もっといい方法はなかったのか…
他に方法は、ない
けどもそんなことを考えずにはいられない
アゲハ「はぁ…」
俺がため息を着くと丁度ミデアがキャリフォルニアベースへ到達した
俺はミデアと通信を繋ぐ
アゲハ「こちらアゲハ…敵部隊は撤退した、これより帰投する」
サンプル『了解しました、ミデア着陸準備に入ります』
俺はナハトが爆発した地点を見た
MSの残骸が火の粉を放ちながら赤々と燃えている
アゲハ(お前は何で戦ってたんだよ…)
既に亡き者に問いかける
答えが帰ってくる筈がないと分かっていて
俺は一瞥するとミデアへと帰投を始めた
二度は振り返らなかった
【小説】ガンダムアライブ
139. seed 2014年2月2日 20:34:15 ID[NCScCrDq]
──────────
マイア砲「クソッ!!」
俺はギャロップのブリッジで毒づきながら壁に八つ当たりしていた
マイア砲「クッソクッソクッソ…!」
ナギ「マイア砲さん落ち着いてください…壁が壊れます」
マイア砲「これが落ち着いてられるか!!人がタヒんだんだぞ!寧ろなんでお前らはそんな平気なんだよ!」
朱希羅「平気なわけないでしょう」
後ろから威圧するような声が響いた
朱希羅だ
【小説】ガンダムアライブ
140. seed 2014年2月2日 20:34:52 ID[NCScCrDq]
朱希羅「人がタヒんで平気な人なんているわけがない、僕だってやりきれない思いが大きいですよ」
マイア砲「だったら…!」
朱希羅「でも戦争だから仕方ないでしょう?」
マイア砲「…ッ!」
朱希羅「これは戦争…ころし合いです、いつ自分がタヒんでもおかしくないし味方がタヒぬことなんて当たり前…貴方だって今まで散々ころしてきたでしょう?」
マイア砲「それは…仕方が無いことで…!」
朱希羅「そうです、仕方が無いことなんです!敵を撃っても自分が撃たれても戦争なら仕方が無い…それを分かっていて皆戦場に立ってるんです!」
マイア砲「くっ…」
朱希羅「貴方はどんな覚悟があって戦場にいるんですか…もっと割り切ってください、今回の隊長の戦タヒも含めて」
それだけ言うと朱希羅はブリッジから出て行ってしまった
朱希羅の言ったことは正論だ
戦争だから仕方が無い…
それに俺は強くなりたい、そのために戦場にいる
なのに人一人がタヒんだくらで喚き散らしてる俺は酷く無様だ
マイア砲「畜生…」
【小説】ガンダムアライブ
144. seed 2014年2月4日 22:39:03 ID[NCScCrDq]
───────────────
マイア砲「ん……っぷはぁ!」
俺は艦内の食堂の自販機で買ったばかりのコーラをがぶ飲みしていた
マイア砲「ガンダムの世界にもコーラがあってよかった…これがねぇと行きていけないや…」
現実世界での俺は『コーラ男』の異名を持つ程のコーラ好きで1日に5,6本飲むこともザラじゃなかった
マイア砲「あと2,3本買い置きしとくか…」
俺が自販機に金を連投してコーラのボタンを連打していると、後ろにナギの姿があった
マイア砲「…………」
ナギ「…………そのコーラ…どうするんですか?」
マイア砲「………お花の水やりに」
ナギ「…………そうですか」
それだけいうとナギは自販機で自分の分の飲み物をそそくさと買った
マイア砲(くそっ!恥ずかしいところを見られた!というかいつから後ろにいた!?全く気配を感じなかったぞ…!)
俺が顔を伏せ冷や汗をダラダラとかいていると、ナギが先程買ったミルクティーを飲みながら聞いてきた
【小説】ガンダムアライブ
145. seed 2014年2月4日 22:39:38 ID[NCScCrDq]
ナギ「マイア砲さん…いくらか落ち着きましたか?」
マイア砲「え?」
コーラで頭が一杯になっていた俺は一瞬何のことか分からなかった、が、すぐに思い出す
マイア砲「あ、あぁ…もう大丈夫だ…迷惑かけたな」
ナギ「いえ…それならいいんですが…」
あの後の俺はというと自室に戻ってふて寝するという酷くイジけっぷりを全開にしていた
今思い出すと恥ずかしい
ナギ「私だって人がタヒんだら悲しいです、だからマイア砲さんにタヒなれても困ります、今のマイア砲さん…戦場に出たらタヒにますよ?」
マイア砲「ん?心配してくれてんの?」
ナギ「ええ、まぁ」
マイア砲「ふ〜ん…」
暫くの間お互いに無言が続く
普段は淡々と戦況を伝えるだけのコイツが心配してくれるなんて珍しい…
ナギは顔立ちの整った美少年、という容姿だ
これで女子だったら最高なのになぁと心の片隅で思った事はコーラ以上の機密だ
するとナギが徐ろに口を開いた
【小説】ガンダムアライブ
146. seed 2014年2月4日 22:40:25 ID[NCScCrDq]
ナギ「そういえば…」
マイア砲「ん?」
ナギ「いや、何でもうちの隊に新任の隊長がくるとかなんとか…」
マイア砲「補充兵ってことか?」
ナギ「肩書き上はそんなところでしょうか…噂によれば、ジオンにはたった二人だけで行動する小隊があるらしいんです…その二人がうちの隊に揃って転属、といったところでしょうか」
マイア砲「へぇ…どんなやつらかな…前の隊長みたいなの はごめんだな…」
ナギ「タヒんだ人の悪口なんていうもんじゃないですよ、マイア砲さん…」
マイア砲「おっと、悪いな」
俺は全く悪びれる様子もなく言った
隊長のことは既に割り切れていた
seed 2014年1月21日 1:30:01 ID[NCScCrDq]
(暑い…なんたってこのゲームはこんなにリアルなんだ…)
俺、アゲハは砂漠にいた
タクラマカン砂漠上空を通過中に俺の乗っていたミデアがエンジントラブルを起こし、現在砂漠のど真ん中で整備を行っているというわけだ
(そもそもどうして…こんな…)
時は半年程遡る
【小説】ガンダムアライブ
2. seed 2014年1月21日 1:32:09 ID[NCScCrDq]
俺は部屋のテレビで新ゲームの特集番組を見ていた
─…さん、今度発売されるP.G.Fというゲーム機は一体どういうものなんですか?─
─P.G.Fというのは、最先端の技術を応用した永遠に遊べるゲームですね─
─というと?─
─とあるアニメに似たようなものですね、このヘルメット状の物を頭に被ると、実際にゲームの世界に降り立つことができるんですよ!更にそのゲームをどれだけ長い時間プレイしても、現実では全く時間が進んでおらず、ログアウト時にはログイン時と同じ時間というわけなんですよ─
─それは凄い画期的なゲームじゃないですか!けど先程例に上げたとあるアニメ見たいに、大量さつ人兵器になる心配はないんですか?─
【小説】ガンダムアライブ
4. seed 2014年1月21日 1:33:38 ID[NCScCrDq]
─その辺は大丈夫ですよ、このP.G.Fを開発した会社「ジャマー」は詳しい技術こそ公開してませんが、人をころせる程の電磁波を出したりはできない、と明確に発表していますからね、ちゃんと検査も受けてるようですし─
(……)
俺はテレビを見ながら疑問を感じていた
どうしてこんな凄い技術がゲームに使われたのだろう
いくらログインしても時間が経たないだなんて、真っ先に軍事技術等に使われそうだろうに
(まぁ…そんなことどうでもいいか…)
俺が一人で考えてる間もテレビは淡々とゲームの解説をしていく
【小説】ガンダムアライブ
5. seed 2014年1月21日 1:34:59 ID[NCScCrDq]
─ところで気になるソフトの方は?─
─まずソフトは3つ発売されるようですまず一つ目のソフトは…─
(なんだよ…スローライフ系じゃんか…)
テレビで説明された一つ目のソフトはいかにもDSでありそうなスローライフ系のゲームだった
二つ目のゲームもなんだかよくわからない育成ゲームだった
(やっぱ新ハードのソフトなんてこんなもんか…)
しかし3つ目のソフトが俺の心を鷲掴みにした
─3つ目のゲームは機動戦士ガンダムの世界を実際に体験できる、リアルな「戦争」を描いた作品です、このゲームでは一人の人間としてログインし、そこから連邦ジオンや傭兵民間人様々な生き方を体験でき…─
俺は全力でPCにダッシュしていた
そしていつもお世話になっているAmazonでP.G.Fとガンダムのソフトを注文した
在庫がないんじゃないかと心配していたが何故か大量に残っていた
後からわかったことだがこのゲームはオンラインで海外にも進出していて異常な程の売れ行きを示しているらしい
【小説】ガンダムアライブ
6. seed 2014年1月21日 1:37:01 ID[NCScCrDq]
それから2日後、家に届いたP.G.Fをコンセントに繋ぎメモリーカード状のものを差し込む
そして俺はP.G.Fを頭に被り目を閉じた…
目を開けてみると、目の前にホログラフィックの文字が浮かび上がった
─Welcome to GUNDAM world─
─Please input your PN─
俺はゲームで使い親しんだアゲハという名を打ち込んだ
すると一瞬画面が真っ暗になったあと、白い部屋の中に移動していた
ゲームでの俺の姿は現実の俺と同じ姿だった
おそらくP.G.F初期設定時に入力した個人情報から俺の事を割り出したのだろう
【小説】ガンダムアライブ
7. seed 2014年1月21日 7:32:43 ID[NCScCrDq]
そしてそのまま俺はゲーム内で1週間を過ごした…
俺は地球連邦軍のMSパイロットに志願し、新人パイロットとして就任した
感動と感激の嵐だった
昔から見ていたガンダムの世界に実際に降りたてる
目の前をMSが歩いている
俺は歓喜の中にいた…
この感動をリアルの知り合いにも伝えるために一旦ログアウトを考えた
ところが、P.G.Fゲーム全てに支給されているログアウト用の端末を操作してみたが、全くの反応がなかった
(故障か…?)
俺が周りのゲームユーザーに聞いてみようとしたところ、急に視界が暗くなった
「な、なんだ!?」
俺は360度暗闇の中にいた
それは周りのユーザーも同じようで、動揺の声が多く聞こえる
(なんだ…何が起こった?)
俺と周りのユーザーの疑問に答えるように、いきなり声が聞こえた
─ユーザーのみさなん、ようこそ、「戦争」の世界へ─
誰だ?何の声?ゲームスタッフ?
そんな声が周囲から聞こえる
【小説】ガンダムアライブ
12. seed 2014年1月21日 19:20:22 ID[NCScCrDq]
─私はゲームスタッフの「seed」です、皆さんは既にお手持ちの端末の反応がないことにお気づきと思います…それは私からの忠告をさせてもらうために、一旦皆さんの端末を使用できなくした為です─
「忠告…?ログアウトをしたら困る程の…?」
俺は思わず疑問を口に出していた
─皆さんは今この瞬間から端末からログアウト操作を行うと…皆さんは脳タヒ状態に陥るからです─
…………は?
─また、ゲーム内で現実でタヒに至る程の損傷を自身の体に負うとログアウト操作同様に皆さんは脳タヒ状態に陥ります─
つまり、ログアウトするかゲーム内でタヒねば現実でタヒぬってこと…か…?
「ふざけんな!!どっかのアニメじゃねぇんだぞ!!現実でタヒんだりするわけねぇだろうが!!」
─一応申し上げておきますが、何も現実でタヒぬわけではありません、あくまでも脳タヒ状態でありタヒぬわけではありませんので…更にP.G.Fは人を×すほどの電磁波を出すことは不可能ですが、脳の一部分を機能不全にする程度のことなら可能なんです─
周りから声が聞こえない
恐らく今の説明に唖然としているのだろう
【小説】ガンダムアライブ
13. seed 2014年1月21日 19:21:21 ID[NCScCrDq]
(確かに…テレビで見た時も人をころすのは不可能とは言っていたけど…そんなの…)
「そんなのただの屁理屈だ!!ふざけんな!!」
そうだ…屁理屈だ…そんなのが通るはずなんて…
─皆さんがどう思うかは御自由です、けどもこれは事実なのです…このゲームから安全にログアウトする方法は一つ、「戦争」がおわることです、どちらの軍が勝利しようが敗北しようが戦争が終わった時点で皆さんの安全なログアウトを保証します─
「そんな…戦争を終わらせるだなんて…どれほどの犠牲が…」
─私からの説明は以上です、それではリアルな「戦争」の世界をご堪能ください─
それから俺は元いた場所に戻って来た
あのseedとか言う奴の声は聞こえなかった
それからは周囲の喧騒で何があったかは覚えていない…
ただひたすら生きるために何をするかが頭に思い浮かび、それをただ実行してきた
その結果俺は今、こんな砂漠でミデアの修理待ちをしている
【小説】ガンダムアライブ
15. seed 2014年1月21日 22:25:04 ID[NCScCrDq]
アゲハ「はぁ…」
俺はミデアのブリッジで内輪をパタパタ扇いでいた
アゲハ「暑い…」
サンプル「なひあたりまへのほほいっへるんれふかたいひょう、さはくなんれふからあふいのはあはりまえれひょう?」
後ろから声をかけてきたのは俺の隊のオペレーターのサンプルだった
口にはアイスキャンディーを加えている
アゲハ「…なら冷房入れようぜ、そして物を食べながら喋るな、今のを聞き取れたのは奇跡に近かった」
サンプル「ん…暑いからアイスキャンディーを食べてるんですよ、そして冷房を入れないのは節電ですっ、隊長も協力してくださいっ」
アイスキャンディーを口からだしもう一つ手に持っていたアイスキャンディーをこちらに差し出す
アゲハ「全く…」
【小説】ガンダムアライブ
16. seed 2014年1月21日 22:29:11 ID[NCScCrDq]
俺はそれを受け取りながらコイツに何を言っても無駄だということを改めて悟った
俺はトリントン基地所属の独立小隊、通称『クリアスパーク』の隊長を努めている
隊長とはいっても、基地内の若い連中を邪魔だと考えている上の指示で作られた寄せ集めの部隊の隊長だ
歳もさほど離れていない
上の連中からしてみれば俺達の様な兵士は邪魔なだけだ
下される命令も捨て駒扱いの物が多い
それでも今日まで生きてこれたのはうちの隊員の腕前の良さといったところか
【小説】ガンダムアライブ
18. seed 2014年1月21日 22:54:06 ID[NCScCrDq]
気が付けばどのプレイヤーも自分を兵士として認識していた
ゲームという認識は消え去り戦争、ころし合いを繰り広げている
人は何でもすぐに慣れる
こんな異常な現状にも人をころすことにも
そして俺もそれに慣れかけていて、そんな自分を受け入れかけていた…
それは正しい事なのか…戦争を終わらせてゲームをクリアするためには人をころす行為を正当化しなければならないのか…
【小説】ガンダムアライブ
19. seed 2014年1月21日 23:16:56 ID[NCScCrDq]
ピーッ!ピーッ!ピーッ!ピーッ!
俺の疑念を晴らすかのようにブリッジにサイレンが鳴り響いた
その音を聞きサンプルがオペレータ席に飛び移る
サンプル「レーダーに熱源あり!数一!輸送機クラスだと思われます!」
その報告を聞き俺の頭も切り替わる
アゲハ「周りに機影は?」
サンプル「ありません、こちらはミデアのエンジンを切っていたし敵に発見されてる可能性は低いと思われますが…」
アゲハ「万が一ということもある、俺が先行して囮になる、敵をミデアから引き離したあとかやまのジム・コマンドで挟撃する!」
サンプル「り、了解しました!」
アゲハ「ミデアの修理状況は?」
サンプル「早くてもあと2…いえ、30分はかかりそうです」
アゲハ「急がせろよ!俺のジムコマンドライトアーマーは出せるな?」
サンプル「はい!いけます!」
アゲハ「OK…出撃する!!」
俺はブリッジを飛び出し格納庫へ走り出した
【小説】ガンダムアライブ
27. seed 2014年1月22日 21:36:42 ID[NCScCrDq]
俺は格納庫につくなり片膝をついているMSのコクピットに飛び乗った
アゲハ「かやま!出撃準備はできてるか!」
後ろのジム・コマンドに乗っているパイロット、かやまに問いかけてみる
かやま「はいはい大丈夫いつでも準備よろしよ、隊長さんー早く前に出て敵を引きつけて下さいよぉ 」
アゲハ「わかっている、行くぞ!」
俺は操縦桿を押し倒し機体を動かす
ミデアの外に出てからペダルを思い切り踏み込み、敵の確認できる位置にダッシュする
しばらくしてから遠目にジオン輸送機、『ファットアンクル』の姿が確認できた
俺に気付いて進路を変えてくれれば嬉しいが…
俺の祈りが届いたのか、ファットアンクルは進路を変えミデアとは遭遇しないルートに迂回し始めた
アゲハ(ふぅ…これでミデアの無事は確保できた…)
が、それほど現実は甘くなかった
迂回したファットアンクルから二機のMSが降下するのが見えた
ザクⅡが二機こちらへ向かってくる
アゲハ(チッ…帰る場所だけ確保してきっちり俺を墜としに来るか…)
撃ちたくない、が、撃たなければ撃たれる
【小説】ガンダムアライブ
28. seed 2014年1月22日 21:41:13 ID[NCScCrDq]
俺は機体に右へと反れたファットアンクルを追撃する素振りをとらせる
あくまでも素振り、だ
案の定敵はファットアンクルを撃たせないために俺を追ってくる
これでかやまが敵の背中を取れる形になった
俺はミデア付近で待機しているかやまに連絡する
アゲハ「かやま!敵をひきつけた!挟み込むぞ!」
かやま『了解ぃ!行くぜ!』
ミデアの方角からかやまのジム・コマンドがダッシュしてくる
俺は機体を敵へ振り向かせ右手に装備しているビームガンを牽制で一発撃つ
敵は一瞬驚いたような素振りを見せたがすぐにこちらへとザクマシンガンを向ける
が、その頃にはかやまがザクⅡ二機を射程に捉えていた
かやま『おらおらおらぁぁ!!』
かやまのジム・コマンドがブルパップマシンガンを乱射しながらザクⅡ二機へと近づいて行く
それに気づいた敵が対応しようとするが、遅い
かやまの方へと機体を向けた時には一機は既に全身に穴を開けそのまま後ろ向きへと倒れ込む
【小説】ガンダムアライブ
29. seed 2014年1月22日 22:22:41 ID[NCScCrDq]
もう一機のザクⅡはかやまの撃った弾がザクマシンガンに命中して破損していた
飛び道具を失った敵はヒートホークを抜き放ちこちらへと突っ込んでくる、後ろから撃たれることも構わないようだ
アゲハ「命を大切にしろよ…!」
俺は機体の左手でビームサーベルを抜いた
突っ込んでてきたザクⅡがヒートホークを横薙ぎに振るう
俺はそれをバックステップでかわし、ビームサーベルを振るった
俺の繰り出した斬撃はザクⅡの胴体を左上から右下へと切り裂いていた
そして、もう一度バックステップ
次の瞬間には敵の機体は大爆発を起こしていた
【小説】ガンダムアライブ
30. seed 2014年1月22日 22:26:17 ID[NCScCrDq]
アゲハ「ふぅ…こちらアゲハ、敵MS二機撃墜を確認…輸送機は戦線離脱…」
ミデアへの報告をし、ザッというノイズと共にサンプルの声が聞こえる
サンプル『了解、お二人とも帰投してください…というか隊長、何ですか今の戦い方はぁ…』
アゲハ「え?」
今の戦い方の何処かがまずかっただろうか、戦略的にも何の問題もないとおもっているが…
サンプル「その接近戦を仕掛ける癖、どうにかしてくださいよぉ…相手が飛び道具がない時点で敵を切り離して遠くから安全に射撃したらいいじゃないですかぁ…」
このゲームでは圧倒的に接近戦を好むものが少ない
理由としては、タヒに対する恐怖と被弾増加を恐るためである
普通のゲームとは違い接近戦をしかけるのはリスクが高い、よって殆どのパイロットが射撃戦を好む
【小説】ガンダムアライブ
31. seed 2014年1月22日 22:36:32 ID[NCScCrDq]
アゲハ「あいや…すまん…この癖ばっかりはどうも…」
かやま『まぁそうカッカすんなよサンプル〜?生きてるんだからいいじゃんかよ、なぁ隊長?』
サンプル『タヒんでからでは遅いから言ってるんです!そもそもかやまさんの戦い方もおかしいですよ!なんでわざわざ突っ込むんですか!』
かやま『ヒットアンドアウェイってやつさ☆彡』
サンプル『何が「☆彡」ですか!馬鹿なんですか!?』
かやまとサンプルの口喧嘩ともとれるやり取りを聞きながら考える
確かに、俺はもう少し安全な戦い方を覚えた方がいいかもしれない…タヒなない戦い方を…
アゲハ「二人ともその辺にしておけ、これより帰投する」
かやま『へいへい』
サンプル『りょーかぁい…』
取り敢えずシャワーを浴びたい
砂漠はMS内にいても暑い
俺はミデアへと帰投を始めた
【小説】ガンダムアライブ
38. seed 2014年1月24日 22:37:36 ID[NCScCrDq]
──────────
りゅん「隊長さぁーん」
ミデアに帰投しコクピットから降りたところで低めの声が響きわたった
声のした方を振り返ると整備士のりゅんがすすまみれの格好で歩いてきた
りゅん「隊長さん…やっとミデアの整備終わりましたよ…これでオーガスタ基地まで飛べますぜ」
彼の名前はりゅん猫
本当は宇宙軍所属のMSパイロットで大佐だった
しかし実績を残しているにも関わらず上から支給される機体がボールのみであった
そのことに対し軍本部に異議を唱えたところ上の怒りを買い、階級を軍曹にまで下げられた挙句地球に飛ばされ『クリアスパーク』に転属、整備士として頑張ってくれている
アゲハ「おぉ、助かる!本当ならタクラマカンなんて通るはずじゃなかったんだがな…」
りゅん「隊長…その話はよしましょうぜ…皆の気が沈みますわ…」
アゲハ「あぁ…すまないな…つい…」
【小説】ガンダムアライブ
39. seed 2014年1月24日 22:38:35 ID[NCScCrDq]
本来なら俺達はトリントン基地から南下し、北米のオーガスタ基地で新機体、パイロットを補充し「アリゲイタキル」作戦に備える予定だった
が、上からの命令でタクラマカン砂漠で敵の襲撃にあい遭難している部隊がいる、救援に向かえ
との指示を受けタクラマカン砂漠へと向かった
俺達が遭難ポイントへ着いた頃にはそこには二機のMSの残骸と戦闘の跡があった
念の為にコクピットを確認してみたところ、そこには無惨にもミンチより酷い姿になった人の姿があった
その日はサンプルが「ちょっと一人にしてください…泣き顔見られたくありません…」と言って部屋に篭ってしまったのでやむなく砂漠で一晩を過ごした
その日はサンプル以外の隊員も落ち込んで「助けられなかった、間に合わなかった」と一様に口にしていた
俺も例外ではなく自責の念にかられていた
夜が明け、オーガスタ基地へ飛び立とうとしたところエンジントラブルを起こし仕方なく整備、そして先程の戦闘から今に至る
【小説】ガンダムアライブ
40. seed 2014年1月24日 22:46:25 ID[NCScCrDq]
りゅん「やっぱりこういうのは慣れないもんですな…」
アゲハ「そうだな…戦争なんてしたくないよな…」
りゅん「戦争を終わらせるために人をころす、嫌なゲームですわ…」
アゲハ「全くだ…」
今でも俺は人をころす事に抵抗がある
自分が生きる、戦争を終わらせるための仕方が無いことだと思ってはいても到底慣れるものではない
りゅん「まぁそんなことを戦場で考える奴がタヒんでいくんでしょうね…躊躇ったら撃たれてしまう…だからやられるまえにやる…」
アゲハ「りゅん…それを現パイロットの俺に言うのはよしてくれ…」
りゅん「おっとすいやせんね、人事だとどうも気を使えなくなってしまうもんでね」
頭をポリポリ書きながら申し訳なさそうに言う
アゲハ「ま、仕方ないか…そんじゃさっさとオーガスタ基地へ向かいますか」
りゅん「了解ぃ」
りゅんはニッと笑いながら敬礼をした
【小説】ガンダムアライブ
47. seed 2014年1月25日 0:08:17 ID[NCScCrDq]
─────────────────
マイア砲「ふわぁ…」
あくびがでる、とまらない
眠い…もっと寝ていたい…
なんで作戦開始時刻が明け方の4:00なんだ
俺達パイロットは自分の命をかけて戦っているんだぞ
少しくらい休ませてくれたっていいだろうに
紙者「そこ!あくびしてんじゃねーよ!」
マイア砲「さーせん…」
俺はジオン軍奇襲専門部隊『デリートペイン』所属パイロット
今はギャロップのブリッジで作戦会議を行っている最中だ
紙者「大事な作戦前だろうがよ?やる気ねーんなら前に出て盾にでもなってくれよ、あぁ?」
マイア砲「うっせぇな…」
朱希羅「二人ともやめてください騒々しいです、隊長はさっさと作戦内容を伝えてください」
紙者「ちっ…調子に乗りやがって…今から俺らは連邦軍北米拠点キャリフォルニアベースに奇襲をかける」
朱希羅「キャリフォルニアベース…ですか?」
【小説】ガンダムアライブ
50. seed 2014年1月25日 0:10:33 ID[NCScCrDq]
紙者「あぁそうだ、なんでも連邦軍がジャブローを奪還するためにアリゲイタ…?なんとかっていう作戦を立ててるらしくてよ、その為にキャリフォルニアベースに奇襲をかけてジャブロー奪還の戦力を裂くってわけだ」
朱希羅「成程…キャリフォルニアベースを落としてしまえば連邦は地球での主要拠点をほぼ失い、仮に落とせなくてもジャブロー防衛が楽になる、と…」
紙者「まぁそういうこった」
このゲームが始まってから1ヶ月
地球連邦軍の主要拠点ジャブローがジオンの手に渡った
ミリオタ等の所謂「戦争オタク」の割合がジオンの方が多く、ゲーム慣れしていない連邦プレイヤーは為すすべもなくタヒんで行きジャブローがジオンの手に渡ることになったということだ
ジャブロー入手から4ヶ月
ようやくジャブローの整備も整ったところだがまだまだ不安要素も多く、そこを連邦に突かれると痛手を被ってしまう
今回の作戦はその為防衛策だろう
【小説】ガンダムアライブ
53. seed 2014年1月25日 0:16:09 ID[NCScCrDq]
紙者「まず俺がイフリート・ナハトで先行して敵の施設を破壊する、そのあとマイア砲がドム・トローペンで俺と一緒に防衛に出てきたMSを攻撃する」
朱希羅「僕は?」
紙者「朱希羅はアッガイで海側から奇襲をかける、ステルス性の高さを生かした仕事だな、アッガイは対MS戦闘力は低いから俺とマイア砲で極力MSを引き付けておく、その間になるべく敵施設を破壊しておいてくれ」
朱希羅「了解」
紙者「5:00になった時点で全機撤退、ポイントG7で待機しているギャロップに合流する、いいな?」
朱希羅,マイア砲「了解」
ナギ「もうすぐ作戦開始ポイントに到着します、みなさんMSにて待機をお願いします」
オペレーターのナギが淡々とした口調で告げる
紙者「あぁ、わかった、いくぞお前ら」
朱希羅「アッガイでどこまでやれるか…」
紙者「あぁそれとマイア砲」
椅子から立ち上がり、MSに向かおうとすると声をかけられた
紙者「間違っても俺の足引張んじゃねぇぞ…もしそうなら後ろからてめぇを撃つ」
マイア砲「わかってますよ…隊長さんッ」
精一杯の皮肉を込め返事をしておいた
【小説】ガンダムアライブ
56. seed 2014年1月25日 0:41:14 ID[NCScCrDq]
──────────────
紙者『そんじゃ…いくぞお前ら』
朱希羅『了解』
マイア砲「…了解」
海の側で待機しているギャロップから三機のMSが出撃する
朱希羅のアッガイはそのまま海に潜行していく
紙者『マイア砲、俺が先に行く…何かの爆発を確認したらお前も来い』
あぁそうか、イフリート・ナハトにはジャミング機能があるんだっけか…レーダーに映らないとかなんとか
紙者『折角のジャミング機能を無駄にはしたくないからなぁ…』
マイア砲「わかったよ…」
紙者『なんなら来なくてもいいがな、俺一人で十分だ』
そう言い残し紙者のナハトが敵基地へ向かっていく
今頃朱希羅も海側から回り込んでいるところだろう
【小説】ガンダムアライブ
57. seed 2014年1月25日 0:41:42 ID[NCScCrDq]
マイア砲「……」
俺がこのゲームを始めたのは、強くなりたかったからだ
ガンダムの知識なんでかじってる程度だ
けど、リアルな戦争を体験すれば、現実でも強さを身に付けられるんじゃないか
そんな思いでゲームにログインしてみればこの有様だ
マイア砲(全く…)
周りの人間は面倒なやつらばかりだ
特にあの隊長、「紙者」とかいうやつは一番意味がわからない
大した腕もないのになんで隊長をやってるんだ
マイア砲「かったるい…」
いっそのこと後ろから撃って戦タヒにしておいてやろうかと考えてた時に、遠くから爆発音が聞こえた
恐らく隊長()が言ってた合図だろう
マイア砲「さっさと終わらせよう…」
俺は機体を爆発音の方へ向かわせた
【小説】ガンダムアライブ
59. seed 2014年1月25日 1:02:01 ID[NCScCrDq]
戦闘地点に到着すると、丁度隊長のナハトがジムを撃墜しているところだった
俺も戦列に並びバズーカで敵を撃ち始める
紙者『なんだ結局来たのかよ…』
俺に気づいた隊長が心底面倒くさそうに呟く
マイア砲「作戦だからな」
紙者『チッ…』
舌打ちしながら正面に現れた陸戦型ガンダムにクナイを投げつける
クナイは頭部を貫きそのまま誘爆させ敵を撃墜する
紙者『おめーは援護でいいからな、間違っても前に出るなよ』
マイア砲「わかったようぜぇな…」
【小説】ガンダムアライブ
61. seed 2014年1月25日 1:02:51 ID[NCScCrDq]
隊長の言動にイライラしつつも、俺もバズーカで敵MSを吹き飛ばす
見渡せば周りには5,6機のMSが集まっていた
紙者『連邦主要拠点つっても朝方だし出せる機体はこんなもんか、そろそろ朱希羅のアッガイが上陸してる頃だが…』
丁度そう呟いた時、反対の海側から爆発音が聞こえた
紙者『無事行けたようだな、俺らもこいつらを片付ける、援護しろ』
マイア砲「了解……」
紙者のナハトがブレードで切り込み、陸戦型ジムの胴体を横に真っ二つにする
その後ろをとろうとするジムを俺が牽制、怯えた様子を見せたジムを紙者のナハトが叩き切る
二機撃墜したと思うと周りには更に敵が増えていた
ここまで作戦開始から15分が経過
あと45分…時間稼ぎに徹してみせる
【小説】ガンダムアライブ
63. seed 2014年1月25日 1:32:30 ID[NCScCrDq]
──────────────
作戦開始から50分が経過
敵MSも計10機近く墜とした
紙者『そろそろ撤退だな…ナギ、朱希羅に撤退の指示を出してくれ』
ナギ『了解しました、朱希羅さん撤退を……待ってください、隊長!高速でそちらへ接近する機影あり!かなり早いです!』
紙者『なに…?』
ナギ『まもなく戦闘地点へ入ります!目視できる距離にいます!』
マイア砲「そんなに速い機体が…?」
よく見れば遠くから一機の蒼いMSがこちらに接近してくる
紙者『マイア砲!お前は周りの敵を牽制しろ!俺があいつを叩く!』
マイア砲「あ、あぁ…」
俺は武器をマシンガンに持ち変え、他の機体へと弾をばらまく
【小説】ガンダムアライブ
64. seed 2014年1月25日 1:34:45 ID[NCScCrDq]
見れば敵の「蒼い奴」はナハトのすぐ傍まで迫ってビームサーベルを抜いている
紙者『ナハトに格闘戦を挑むなんて…生意気なんだよぉ!!』
紙者がナハトに両腕でブレードを振らせる
が、次の瞬間
ナハトの両腕が中に舞った
紙者『………は?』
見れば「蒼い奴」がサーベルを振り終わっていた
マイア砲(いつの間に…!?)
剣筋が見えなかった、早すぎる
マイア砲「マズイ…!隊長逃げろ!」
俺の叫びも遅く、「蒼い奴」はナハトの胴体にサーベルを突き刺す
紙者『う…うぁぁぁぁぁぁぁ!?』
紙者のナハトが盛大に爆発を起こした
マイア砲「隊長…!あのバカ!」
調子に乗ったことをするから…
【小説】ガンダムアライブ
65. seed 2014年1月25日 1:36:48 ID[NCScCrDq]
俺が既に亡き人に暴言を吐いてると、たったいま隊長をころした「蒼い奴」がこちらに振り向いた
マズイ…
やられる…
逃げなければやられる…
ナギ『マイア砲さん!急いで撤退してください!!朱希羅さんは合流ポイントに到達しています!急いで!』
ナギの声で我に帰った俺はブーストペダルを踏み込み急いで機体をその場から去らせる
なんなんだよアイツは…!
「蒼い奴」は追ってこない
無駄な追撃はしないようだ
マイア砲「…くそ!!」
コンソールパネルを思い切り殴った
隊長がやられた
大した腕ではないが決して戦い方は下手ではなかった
それがあそこまで圧倒的にやられた
マイア砲「畜生…」
俺は一人、戦場から逃げるMSのコクピットで自分の弱さを嘆いた
【小説】ガンダムアライブ
77. seed 2014年1月25日 23:20:50 ID[NCScCrDq]
────────────────────
俺達は砂漠を飛び立ちオーガスタ基地へ向かった
最短ルートを通るために通過した海上ではサンプルが「エンジントラブルを起こしませんように…カナヅチなの…」と必タヒで祈っていた姿が印象に残っている
1枚写真に収めておいた
途中小規模な戦闘もあったが、俺達はなんとかオーガスタ基地に到着した
かやま「う…あぁぁ…ようやく着いたぁ…狭い機内暮らしで運動不足だわぁ…」
かやまが背伸びをしながら言う
サンプル「もう海上は嫌です…地べたで暮らしたい…」
その時ミデアのオペレーター席に通信が来た
サンプル「ん…?隊長、オーガスタ基地司令部から出頭要請がかかってますよ」
アゲハ「え?」
到着早々何の用だろうか
こちらも長旅で疲れてるというのに
アゲハ「まぁ…仕方ない行くか…」
かといって文句を言っても仕方が無いので基地司令部へと出向くことにする
時刻は夕方、ミデアの外に出てみると外は綺麗な夕焼け色だった
この景色を女の子と一緒に見ることが出来たらどれほど嬉しいことか…
アゲハ(……アホらし)
俺は余計な考えを捨て司令部へ足を運んだ
【小説】ガンダムアライブ
89. seed 2014年1月26日 23:11:38 ID[NCScCrDq]
───────────────
アゲハ「失礼します!」
俺は指令室のドアをノックし扉を開けた
TTY「遅い…いつまで私を待たせる気だね?」
アゲハ「は、申し訳ありません」
オーガスタ基地最高指揮官TTY司令
あまりいい噂は聞いていない
ここへ俺が呼ばれた事も悪い予感しかしない
TTY「ふん…まぁいい…お前をここに呼んだのは他でもない、新機体とパイロットの補充の件についてだ」
アゲハ「は、はぁ…」
TTY「実際のところ、我が基地もジャブローが落ちたことで結構厳しい状況でね、そんなにいい機体は支給できないのだよ」
アゲハ「…………」
TTY「そういうことでだ、君達に支給する機体は…」
【小説】ガンダムアライブ
90. seed 2014年1月26日 23:43:18 ID[NCScCrDq]
──────────────────
かやま「はぁ!?B.D.1にジムスナイパーカスタムだとぉ!?」
俺はミデアに戻り、格納庫で支給機体とパイロットのことを皆に伝えていた
りゅん「おいおい…仮にもオーガスタ基地だろ?アレックスやらジムカスタム程度の機体は支給してくれてもいいだろうに…」
サンプル「何考えてんですか司令部は…」
アゲハ「いやぁ…何でもな、『お前らみたいな寄せ集め部隊に高コスト機体は支給できない』だそうだ…」
かやま「くそ…司令部の奴らふざけやがって…! 」
アゲハ「ま、まぁ落ち着けよ…そんなに悪い機体ってわけでもないだろ?」
かやま「まぁそうだけどよ…」
実際B.D.1もジムスナイパーカスタムもどちらかといえば高性能なほうだ
B.D.1は基本性能こそ陸戦型ガンダムと大差はないが『EXAMシステム』の恩恵が大きい
それに単独行動が多いうちの隊に狙撃MSは有り難いと言っていい
サンプル「そういえば隊長、パイロットの方は…?」
アゲハ「あ、あぁそうだったな…そろそろ来ると思うんだが…」
その時格納庫に張りのある声が響きわたった
【小説】ガンダムアライブ
91. seed 2014年1月26日 23:44:52 ID[NCScCrDq]
シブカワ「失礼します!」
声の主はキビキビとした動作でこちらへと歩き敬礼をした
シブカワ「本日付でトリントン基地所属独立招待『クリアスパーク』に転属となりました!」
見た目は…やはりというべきか、10代
いかにも真面目そうな整った顔立ちをしている
かやま「ようこそ使い捨て部隊へ」
アゲハ「かやま…!」
吐き捨てるように呟いたかやまを軽くたしなめる
アゲハ「いやすまない気にしないでくれ、俺が隊長のアゲハだ…よろしくな」
シブカワ「シブカワです、宜しくお願いします!」
アゲハ「あーそんなかしこまらなくていいぞー…この隊の状況的に身が持たなくなるぞ」
シブカワ「はぁ…」
シブカワはイマイチ状況を把握していない表情だ
恐らく上から何の情報もなしに転属命令が下ったのだろう
【小説】ガンダムアライブ
92. seed 2014年1月26日 23:45:34 ID[NCScCrDq]
サンプル「シブカワさん!私サンプルよろしくね!ところでシブカワさんのMSって?」
シブカワ「よ、宜しくお願いします…自分のMSはジムキャノンであります」
りゅん「そういうことか…」
シブカワ「?」
アゲハ「どういうことなんだ?りゅん?」
りゅん「ここオーガスタ基地でもMSは製造されている、そしてつい最近そのラインナップに『量産型ガンキャノン』が追加されたようだ…つまりは、旧型使いが邪魔ってことだろうよ…それで転属命令が出されたんだろう」
シブカワ「そんな…そんな理由で…」
かやま「やっぱり使い捨て部隊じゃねぇか…」
真剣に落ち込むシブカワに釣られてかやまも肩を落とす
アゲハ「ま、まぁこれから同じ隊員としてやっていくんだからさ、よろしく頼むな」
シブカワ「は、はい!」
アゲハ「そうかしこまらなくていいさ…」
俺は苦笑を交えてそう言った
俺の対応にシブカワは不思議そうな顔をしていた
【小説】ガンダムアライブ
109. seed 2014年1月29日 0:30:07 ID[NCScCrDq]
───────────────────
アゲハ(ぐぁ…眠い…眠すぎる)
時刻は四時
オーガスタ基地での用を終えた俺達はトリントン基地へ1度帰投すべくミデアの発進準備を勧めていた
何故こんな朝早くからかというと
TTY『ほかの部隊がいても邪魔なんだがねぇ…君達はいつ帰るんだい?』
とのことなので早めに出発することにした
今俺は新しい俺の機体、B.D.1のコクピットで機体を自分用に調整をしていた
かやまとシブカワもそれぞれ自分のMSを弄っているはずだ
アゲハ(サーベルの出力をもう少しあげるか…銃は実弾を使って後衛はかやまとシブカワに任せるとして…問題なのは…)
EXAMシステム
B.D.1頭部に搭載されているモビルスーツ用特殊イン ターフェイスシステム
これを起動することによって一般兵の能力をニュータイプ並までに引き上げることができるという
しかし原作通り暴走の危険性というリスクもある
さらには、
アゲハ「ニュータイプなんて…いるはずないよな…」
あくまでもゲームシステム上でのニュータイプ並の動きができるだけなので、正直な所あまり期待していない
【小説】ガンダムアライブ
110. seed 2014年1月29日 0:30:47 ID[NCScCrDq]
アゲハ(ま、保険ってところか…)
その時だった
サンプル『た、隊長!』
コクピット右上のモニターに慌てた様子のサンプルが映る
アゲハ「ん?どうした?」
サンプル『え、ええとですね、その、あの…!』
TTY『ええいまどろっこしい!わたしから説明する!』
すると今度はコクピット左上のモニターにイラついた素振りを見せる司令がいた
アゲハ「司令?どうなさったんですか?」
TTY『つい先程、キャリフォルニアベースからジオンの奇襲を受けたとの報告が入った』
アゲハ「…!!まさか…ジオンのキャリフォルニアベース進行戦が始まったんですか!?」
TTY『いや、敵の数は少なく拠点を落とせるようなものではない、恐らく陽動か何かだろう』
アゲハ「そ、そうですか…」
それならひとまずは安心だ
ただでさえジャブローが落ちているのにキャリフォルニアベースまで落ちたら連邦は本格的に戦争に負ける
TTY『が、キャリフォルニアベースの部隊は新兵も多くこの時間ということもあり前線が総崩れでな、先程キャリフォルニアベースから応援要請が来たのだよ 』
アゲハ「……」
【小説】ガンダムアライブ
111. seed 2014年1月29日 0:31:26 ID[NCScCrDq]
わざわざ他の基地に応援を求めるほど被害なのか
少し不安になってくる
TTY『しかし応援に向かおうにも今こちらは出せる部隊がないのだよ…そこでだ、キャリフォルニアベースの応援には君達が向かってくれ』
アゲハ「我々が…ですか?」
TTY『そうだ、君達は丁度出発するところだったろう?いいタイミングじゃないか、トリントン基地に戻る前にキャリフォルニアベースに寄って行ってくれ 』
まるで学校帰りにコンビニに寄れ的な物言いだ
さらに出発を強いたのはそちらだろうに
しかも同じ北米といってもここからキャリフォルニアベースまでどれほど時間がかかると思っているんだ
しかしそういったところでこの司令の性根は変わらない
腐ったものは戻りはしない
アゲハ「…了解しました」
俺は渋々了解を出した
TTY『うむ、頼むぞ』
それと同時に左上モニターが消える
【小説】ガンダムアライブ
112. seed 2014年1月29日 0:31:50 ID[NCScCrDq]
サンプル『隊長…』
右上モニターではサンプルが複雑そうな顔をしている
俺はそれに無言で首を振るしかてきなかった
しかしいつまでこんな事に萎えていても仕方ない
やるしかない
アゲハ「かやま!シブカワ!機体の調整を急がせろ!サンプルはすぐにミデアを出せ!向こうへ向かいながら戦闘準備を行う!あまり時間はない、急ぐぞ!」
俺の指示で全員がドタバタと動き始める
皆にはいつも頑張ってもらっている
一度休暇でも申請してみるか…
そんなことを考えながら俺は叫んだ
アゲハ「クリアスパーク隊、出るぞ!」
【小説】ガンダムアライブ
116. seed 2014年1月29日 20:43:23 ID[NCScCrDq]
─────────────
俺の想いに応えてくれたかのように、B.D.1は凄まじい速度でキャリフォルニアベースへ到着した
その頃には既に4分が経過している
アゲハ「あと60秒…いけるか…!」
俺はなんとかキャリフォルニアベースに到達した
周りには破壊された施設や鉄の塊となったMSの残骸が目立つ
アゲハ「くっ…」
俺は込み上げる思いを堪え、敵の姿を探す
すると今にも味方のジムを撃破した2機のMSを見つける
イフリート・ナハトにドム・トローペン
【小説】ガンダムアライブ
117. seed 2014年1月29日 20:44:06 ID[NCScCrDq]
アゲハ「そうか…ナハトのジャミング機能のせいで前線が混乱して…」
俺は瞬時に理解しナハトへと真っ直ぐ向かう
こちらに気付いたナハトがブレードを両手で構え対峙する
俺はB.D.1にビームサーベルを抜刀させナハトへと飛び込む
相手もそれに呼応しこちらへと飛び込んでくる
ナハトがブレードを振った
俺はそれを軽々としゃがんでいなし、
相手がブレードを空ぶった瞬間にサーベルを下から斬り上げナハトの両腕を斬り飛ばす
正直俺は驚いていた
本当なら相打ちも覚悟していたが、B.D.1は俺の予想を超えるスピードで動いてくれた
アゲハ(これがEXAMの力…!)
ナハトが何が起こったか分からないという様で呆然としている
俺はその隙を逃さずサーベルをナハトの胴体に一突きにした
そしてサーベルを抜いて機体を一歩下がらせると次の瞬間ナハトが大爆発を起こした…
アゲハ(残り…一機!)
俺がドム・トローペンの方に向き直ると、敵は一目散に逃げ始めた
──EXAMSYSTEM SHUTDOWN──
その瞬間EXAMシステムの限界時間を告げるアナウンスが流れた
アゲハ「追撃は無理か…」
【小説】ガンダムアライブ
118. seed 2014年1月29日 20:44:37 ID[NCScCrDq]
何とか敵は撃退した
だが、やはり被害は出てしまった
もっといい方法はなかったのか…
他に方法は、ない
けどもそんなことを考えずにはいられない
アゲハ「はぁ…」
俺がため息を着くと丁度ミデアがキャリフォルニアベースへ到達した
俺はミデアと通信を繋ぐ
アゲハ「こちらアゲハ…敵部隊は撤退した、これより帰投する」
サンプル『了解しました、ミデア着陸準備に入ります』
俺はナハトが爆発した地点を見た
MSの残骸が火の粉を放ちながら赤々と燃えている
アゲハ(お前は何で戦ってたんだよ…)
既に亡き者に問いかける
答えが帰ってくる筈がないと分かっていて
俺は一瞥するとミデアへと帰投を始めた
二度は振り返らなかった
【小説】ガンダムアライブ
139. seed 2014年2月2日 20:34:15 ID[NCScCrDq]
──────────
マイア砲「クソッ!!」
俺はギャロップのブリッジで毒づきながら壁に八つ当たりしていた
マイア砲「クッソクッソクッソ…!」
ナギ「マイア砲さん落ち着いてください…壁が壊れます」
マイア砲「これが落ち着いてられるか!!人がタヒんだんだぞ!寧ろなんでお前らはそんな平気なんだよ!」
朱希羅「平気なわけないでしょう」
後ろから威圧するような声が響いた
朱希羅だ
【小説】ガンダムアライブ
140. seed 2014年2月2日 20:34:52 ID[NCScCrDq]
朱希羅「人がタヒんで平気な人なんているわけがない、僕だってやりきれない思いが大きいですよ」
マイア砲「だったら…!」
朱希羅「でも戦争だから仕方ないでしょう?」
マイア砲「…ッ!」
朱希羅「これは戦争…ころし合いです、いつ自分がタヒんでもおかしくないし味方がタヒぬことなんて当たり前…貴方だって今まで散々ころしてきたでしょう?」
マイア砲「それは…仕方が無いことで…!」
朱希羅「そうです、仕方が無いことなんです!敵を撃っても自分が撃たれても戦争なら仕方が無い…それを分かっていて皆戦場に立ってるんです!」
マイア砲「くっ…」
朱希羅「貴方はどんな覚悟があって戦場にいるんですか…もっと割り切ってください、今回の隊長の戦タヒも含めて」
それだけ言うと朱希羅はブリッジから出て行ってしまった
朱希羅の言ったことは正論だ
戦争だから仕方が無い…
それに俺は強くなりたい、そのために戦場にいる
なのに人一人がタヒんだくらで喚き散らしてる俺は酷く無様だ
マイア砲「畜生…」
【小説】ガンダムアライブ
144. seed 2014年2月4日 22:39:03 ID[NCScCrDq]
───────────────
マイア砲「ん……っぷはぁ!」
俺は艦内の食堂の自販機で買ったばかりのコーラをがぶ飲みしていた
マイア砲「ガンダムの世界にもコーラがあってよかった…これがねぇと行きていけないや…」
現実世界での俺は『コーラ男』の異名を持つ程のコーラ好きで1日に5,6本飲むこともザラじゃなかった
マイア砲「あと2,3本買い置きしとくか…」
俺が自販機に金を連投してコーラのボタンを連打していると、後ろにナギの姿があった
マイア砲「…………」
ナギ「…………そのコーラ…どうするんですか?」
マイア砲「………お花の水やりに」
ナギ「…………そうですか」
それだけいうとナギは自販機で自分の分の飲み物をそそくさと買った
マイア砲(くそっ!恥ずかしいところを見られた!というかいつから後ろにいた!?全く気配を感じなかったぞ…!)
俺が顔を伏せ冷や汗をダラダラとかいていると、ナギが先程買ったミルクティーを飲みながら聞いてきた
【小説】ガンダムアライブ
145. seed 2014年2月4日 22:39:38 ID[NCScCrDq]
ナギ「マイア砲さん…いくらか落ち着きましたか?」
マイア砲「え?」
コーラで頭が一杯になっていた俺は一瞬何のことか分からなかった、が、すぐに思い出す
マイア砲「あ、あぁ…もう大丈夫だ…迷惑かけたな」
ナギ「いえ…それならいいんですが…」
あの後の俺はというと自室に戻ってふて寝するという酷くイジけっぷりを全開にしていた
今思い出すと恥ずかしい
ナギ「私だって人がタヒんだら悲しいです、だからマイア砲さんにタヒなれても困ります、今のマイア砲さん…戦場に出たらタヒにますよ?」
マイア砲「ん?心配してくれてんの?」
ナギ「ええ、まぁ」
マイア砲「ふ〜ん…」
暫くの間お互いに無言が続く
普段は淡々と戦況を伝えるだけのコイツが心配してくれるなんて珍しい…
ナギは顔立ちの整った美少年、という容姿だ
これで女子だったら最高なのになぁと心の片隅で思った事はコーラ以上の機密だ
するとナギが徐ろに口を開いた
【小説】ガンダムアライブ
146. seed 2014年2月4日 22:40:25 ID[NCScCrDq]
ナギ「そういえば…」
マイア砲「ん?」
ナギ「いや、何でもうちの隊に新任の隊長がくるとかなんとか…」
マイア砲「補充兵ってことか?」
ナギ「肩書き上はそんなところでしょうか…噂によれば、ジオンにはたった二人だけで行動する小隊があるらしいんです…その二人がうちの隊に揃って転属、といったところでしょうか」
マイア砲「へぇ…どんなやつらかな…前の隊長みたいなの はごめんだな…」
ナギ「タヒんだ人の悪口なんていうもんじゃないですよ、マイア砲さん…」
マイア砲「おっと、悪いな」
俺は全く悪びれる様子もなく言った
隊長のことは既に割り切れていた
【小説】ガンダムアライブ
151. seed 2014年2月4日 23:14:32 ID[NCScCrDq]
───────────────
ナギ「ギャロップ、発進します」
ギャロップは味方との合流ポイントのニューヤークへと向けて移動を開始した
そこに新隊員の二人がいるらしい
朱希羅「なんで隊長不在の僕らが直接行かないとならないんですかね…普通なら向こうからよこしてくれるでしょうに」
ナギ「まぁ、上も色々と忙しいんじゃないんですか?ジャブローの方で手一杯なんでしょうよ」
朱希羅「全く…」
マイア砲「んなことより敵の心配はないのか?奇襲専門部隊の要のナハトがない俺たちが攻撃を受けたら人たまりもないぞ?」
ナギ「それは…そうならないことを祈りましょう」
朱希羅「…一応ザクⅡの整備をしてきます」
マイア砲「ジリ貧だなこりゃ…」
それだけ呟き俺もドム・トローペンの整備のため朱希羅に続き格納庫へ向かった
【小説】ガンダムアライブ
156. Build seed 2014年2月7日 14:18:51 ID[NCScCrDq]
───────────────
マイア砲「ふわぁぁ……」
俺は大きなあくびをした
気がつけば夜になっている
一度MSの整備をしてみると改良点が次々と見つかり躍起になってしまっていた
取り敢えずドム・トローペンにガトリングキャノンを装備できるように改良した
今までは機動性の低下や取り回しの問題で装備できずにいたが、これで戦術の幅が広がる
本当ならドム・バラッジがあれば話は早いのだが
マイア砲「取り敢えず、ブリッジに行くか…」
朱希羅はとっくの前にザクⅡの整備を終わらせて何処かへと行ってしまった
俺はコクピットから飛び降りブリッジへと向かう通路を渡る
と、次の瞬間
大きな爆発音と共に艦が揺れた
マイア砲「な、なんだ!?まさか攻撃!?」
俺はもう一度コクピットに戻りブリッジと通信を取る
マイア砲「おいブリッジ!なんだ今のは!」
すると直ぐにモニターにナギが映る
【小説】ガンダムアライブ
157. Build seed 2014年2月7日 14:19:50 ID[NCScCrDq]
ナギ『待ってください、今確認しています……どうやら多数の機雷に接触したようです』
朱希羅『機雷…まさか…!? 』
モニターに映るブリッジの奥で朱希羅が愕然としている
そして朱希羅は激しく焦った様子でナギに言う
朱希羅『今すぐこの区域から離れてください!手遅れになる!』
ナギ『え…?あ、はい、取り敢えず敵の攻撃を警戒しつつニューヤークへ向かいます』
朱希羅『いや…警戒するだけ無駄です…第一戦闘配備の方がいい』
マイア砲「お、おい朱希羅!何そんなに慌ててんだよ…一体なんなんだ?」
朱希羅『恐らく僕達は…『スリーパーズ』の罠にかかったんです』
マイア砲「スリーパーズ…?」
何処かで聞いた事がある…確か…
ナギ『連邦のタヒ神部隊』
俺の思考を遮るようにナギが言った
タヒ神部隊…
ナギ『遊撃部隊でもなく独立小隊でもなく狩り専門の部隊という…』
朱希羅『そうです、奴らは昼間は行動しないが夜になるとそこらじゅうに機雷をばら撒く…そして獲物がかかるのを待つ…』
ナギ『ミノフスキー粒子が超高濃度で散布されています!』
ナギの情報を聞き、朱希羅は納得した表情で話を続ける
【小説】ガンダムアライブ
158. Build seed 2014年2月7日 14:21:29 ID[NCScCrDq]
朱希羅『獲物がかかるとミノフスキー粒子を散布しつつ直行、そしてそのまま狩る…』
マイア砲「で、でもよ、それならただ単に夜に奇襲を受けるのと同じじゃないのか?」
朱希羅『いや…奴らの特徴的なところは、艦もMSも全て黒一色でカラーリングされていることです』
ナギ『黒…ですか』
朱希羅『はい…ドムのようなカラーリングとは違い、純粋に黒のみで塗装されています、夜暗い中、ミノフスキー粒子でレーダーも使えない状況での戦闘…まさにタヒ神そのものです』
マイア砲「なんだよそれ…かなりヤバイじゃねえか!」
朱希羅『ヤバイで済む話じゃないですよ…くそ!まさかこんな所で遭遇するなんて…』
ナギ『しかもこちらは隊長不在の為指揮官もいない…』
マイア砲「…各々の判断で戦うしかねぇな」
【小説】ガンダムアライブ
159. Build seed 2014年2月7日 14:22:17 ID[NCScCrDq]
朱希羅『ですね…取り敢えず、早急にMSの発進を、僕もすぐに出ます』
マイア砲「そうだな…ドム・トローペンの整備は終わってる、俺はこのまま出るぞ!ハッチ開けてくれ」
ナギ『了解しました!』
開いていくハッチを眺めながら思う
こんなところでタヒわけには行かない…
意地でも生き残ってみせる
ハッチが完全に開いた
俺は機体を夜の廃墟に駆らせた
【小説】ガンダムアライブ
173. seed 2014年2月11日 20:15:59 ID[NCScCrDq]
──────────
出撃してから5分が経った
俺は機体を廃ビルを背に隠していた
今の所敵の姿は見えない
いや、見えていないだけかもしれない
マイア砲「はぁ…はぁ…はぁ…」
俺は緊張で息が上がっている
今目の前に敵が現れたら心臓が破裂するかもしれない
マイア砲(何処だ…何処にいる…!)
機体のモノアイを上下左右に動かす
が、未だに敵は見当たらない
朱希羅も既に出ているころだろうが、戦闘音が聞こえないということはまだ敵と接触していないということだろう
マイア砲「ふぅ……はぁぁ…」
一度大きな深呼吸をする
このまま待っていてもすぐにギャロップの位置が特定される
動くしかない
俺は操縦桿を倒した
物音を立てないようにゆっくりと移動する
その時、
遠くで何が光った
【小説】ガンダムアライブ
174. seed 2014年2月11日 20:16:35 ID[NCScCrDq]
マイア砲「ッ!」
俺は反射的にペダルを踏み込みその場を離れる
と、次の瞬間
ついさっきまでいた場所に弾丸が通過した
マイア砲「そこかッ!」
弾丸が飛んできた方向に、何か黒い影が見えた
俺はガトリングを向け乱射するが、手応えがない
マイア砲「隠れたか…!」
すると朱希羅から無線が入る
朱希羅『マイア砲!迂闊に打たないでください!こう暗いとガトリングの銃撃光は目立ちます!』
マイア砲「わかってる…!お前の方はどうなんだ、敵は見つけたのか?」
朱希羅『いえ…まだ…敵の数も把握できてません…』
マイア砲「くそッ!奴ら…じわじわとプレッシャーで俺たちをやりにきてる…」
朱希羅『ですね…飲まれないようにいきましょう、なるべくギャロップから離れないように』
マイア砲「あぁ…そうだな…」
【小説】ガンダムアライブ
186. seed 2014年2月11日 23:10:13 ID[NCScCrDq]
朱希羅『索敵しつつラインをあげます、後ろに回り込まれないように注意してください』
マイア砲「お前もな…………ッ!?」
俺と朱希羅がいたところに一条のビームが煌めいた
俺はそれをしゃがんで避け、朱希羅はジャンプして回避した
が、よけきれなかった
ビームが朱希羅を追うように揺れた
マイア砲(照射ビームかッ!)
空中に逃げた朱希羅のザクⅡの片脚をビームが薙いだ
朱希羅『うわっ!?』
そのままバランスを崩し派手な音と共に朱希羅のザクⅡが墜落する
マイア砲「くそ!」
次こそは見逃さないようにと機体をビームのした方へ振り向かせる
一際高いビルの上から狙撃された
今度はしっかりとMSの種類まで確認できた
ジム・スナイパー
やはり黒一色で塗装されている
すると敵は今にもビルから降り隠れようとしていた
ガトリングだと精度が悪い
俺は左腰に装備されているシュツルム・ファウストを抜き放ち発射する
弾の軌道は微妙に反れビルに命中した
その隙にジム・スナイパーはビルを降りてしまった
だが廃ビルということもあり、爆発物をモロに当てられた高層ビルは盛大な音を立て崩れ落ちる
マイア砲(やったか?)
【小説】ガンダムアライブ
193. seed 2014年2月12日 1:02:32 ID[NCScCrDq]
次の瞬間、機体が大きく揺れた
マイア砲「ぐっ……!」
激しい衝撃で息に詰まる
後ろから撃たれた
マイア砲(後ろだと!?)
つい先程朱希羅に警告されたばかりだというのに、バカすぎる
後ろのすぐそばで光が揺らめいた
光の正体は…
黒いジム・ストライカーが振りかぶったツインビームスピアだった
敵が今にもこちらに斬りかかろうとしていた
マイア砲「やらせるかよ!!」
俺は機体を振り向かせながら左腕でガラ空きのボディに裏拳を決めた
よろめいた敵に零距離でガトリングを接射する
マイア砲「ウェラブルアーマーがあろうとこの距離ならぁ!」
ガトリングの接射と連射をくらい倒れ伏す敵に弾丸を浴びせ続ける
しばらくして敵が動かなくなるのを確認して撃つのをやめる
マイア砲「はぁ…はぁ…はぁ…」
息を整え、周りの状況を確認する
敵の攻撃は今のところない
今度こそ周囲を確認しながら、墜落した朱希羅の方へと向かう
【小説】ガンダムアライブ
194. seed 2014年2月12日 1:03:15 ID[NCScCrDq]
マイア砲「おい朱希羅ぁ、大丈夫か?」
朱希羅『はい…なんとか…脚をやられたから戦闘は無理ですが…』
ノイズ混じりに聴こえた声には申し訳なさが含まれていた気もする
マイア砲「仕方ねえ…ギャロップに迎えに来てもらうか…」
俺はギャロップと通信し位置情報を送る
五分もせずにこちらへ来るだろう
朱希羅『しかし…貴方の戦い方は見てて怖いですねえ…』
マイア砲「仕方ねーだろ奇襲なんだから、それに被弾してるのはお前の方だっつーの」
朱希羅『それを言われると痛いですね』
そんな会話をしているとギャロップが見えた
ナギ『ギャロップ、予定ポイントに到着、これより朱希羅さんを回収します』
朱希羅『了解』
マイア砲(これからどうすっかな…)
戦える機体は一機のみ
残りの敵の数も分からないで未だにいつ後ろから撃たれるか分からない状況だ
俺もギャロップに帰投し敵の攻撃が止んでる状態で全速力でこの場を去るか…
俺が頭を悩ませていると、地面が揺れた
【小説】ガンダムアライブ
195. seed 2014年2月12日 1:04:09 ID[NCScCrDq]
マイア砲「うわっ、な、なんだ!?」
ナギ『この揺れは…爆撃?』
朱希羅『ギャロップ!照明弾を!』
ナギ『え、し、しかし…』
朱希羅『早く!』
ナギ『は、はい!』
照明弾は相手の位置を割り出すこともできるが、その逆もまた然り
だがこれ以上先手をうたれ続けるなら少しでも対応できた方がマシだと判断したのだろう
ギャロップから照明弾が発射され、辺りを煌々と照らす
しかし、俺たちが見た物は到底信じられる物ではなかった
マイア砲「おい…嘘だろ…」
ナギ『こんな…こんなものが…』
朱希羅『これは…』
俺達が見た物は、黒一色に塗装された
ペガサス級強襲揚陸艦グレイファントムだった
マイア砲「これが…タヒ神部隊の正体かよ…!」
ナギ『こんなものを作っておいて…最前線に投入せずにこんなことに使うなんて…』
朱希羅『話してる暇はないですよ…逃げないと…!』
グレイファントムの砲塔がこちらへ向けられ、今にも撃たれようとしていた
【小説】ガンダムアライブ
237. seed 2014年2月18日 22:08:12 ID[NCScCrDq]
マイア砲「くっそ…」
今からギャロップで砲撃するにしても間に合わないし、
どれだけ対応しようと大きな被害は免れることはできない
マイア砲「何か、何か方法は…」
何か手はないかと周りを探していた、その時
突然グレイファントムの砲塔がくるりと向きを変え、別方向へ砲撃を始めた
マイア砲「な、なんだ…」
朱希羅『一体どこを狙って…?』
よく目を凝らしてみると、グレイファントムが砲撃している方向に何か動くものを見て取れた
朱希羅『MS?にしては動きが…』
その謎の機体は空中をサーカスのように飛び回り砲弾をくるりくるりとかわしている
その機体は腕からワイヤーのようなものをだし建物から建物へと飛び移りながら移動していた
【小説】ガンダムアライブ
238. seed 2014年2月18日 22:08:27 ID[NCScCrDq]
マイア砲「グフ・カスタムか…!」
グフ・カスタムはヒートロッドを巧みに扱い砲撃を避けながらグレイファントムへと接近していた
するとグレイファントムのカタパルトから三機のMSが出るのが見えた
マイア砲「マズイ…!ギャロップ!俺はあのグフ・カスタムの援護に行ってくる!」
ナギ『り、了解しました!』
俺は機体を敵へと向けて駆らせた
おそらく応援に来てくれたのであろう味方を見捨てるわけにはいかない
【小説】ガンダムアライブ
254. seed 2014年2月28日 22:38:29 ID[NCScCrDq]
はっきりとグフ・カスタムを認識できるところまできた
マイア砲「おいあんた!一人じゃきついぞ、援護する!」
グフ・カスタムのパイロットは俺の呼びかけには応えなかった
代わりにモノアイだけでこちらを一瞥した
グフ・カスタムは目の前に迫る三機の敵MSに怯むことなく突っ込んで行く
マイア砲「お、おい!」
俺は呼び止めようとするが、パイロットからの応答はない
【小説】ガンダムアライブ
255. seed 2014年2月28日 22:39:25 ID[NCScCrDq]
敵は三機とも黒一色に塗装された陸戦型ガンダム
グフ・カスタムは右前方にいるミサイルランチャー装備の陸戦型ガンダムに向かった
突撃してくるグフ・カスタムを見、敵もミサイルランチャーで応戦しようとする
だがグフ・カスタムは敵がミサイルランチャーを構えた時にには既に懐に潜り込んでいた
白熱化させたヒート剣を縦に振り上げ陸戦型ガンダムを左右に両断した
この間わずか3秒
残り二機
グフ・カスタムは味方が撃破されたのを見て突っ込んできたもう一機の陸戦型ガンダムへと対峙する
陸戦型ガンダムはビームサーベルを抜き放ち振りかぶってくる
だがグフ・カスタムはそれを軽々と避けヒート剣を胴体へと突き立てる
そしてそしてそのまま、今にもビームライフルを撃とうとしていたもう一機の陸戦型ガンダムへと投げ付けた
ここまでで8秒
飛んできた味方機をくらい、二機ともその場に倒れ伏した
その二機にグフ・カスタムはガトリングシールドの弾を浴びせる
二機の陸戦型ガンダムは為すすべもなくそのまま撃破され、闇夜で盛大な爆発を起こした
三機の陸戦型ガンダムを撃破するのにかかった時間は、計13秒
俺は驚きでその場に突っ立っていた
【小説】ガンダムアライブ
256. seed 2014年2月28日 22:40:14 ID[NCScCrDq]
その時丁度ナギから通信が入った
ナギ『隊長、敵のグレイファントムは撤退を始めました…なんとかこの場は凌ぎましたよ、お疲れさまでした』
マイア砲「あ、あぁ…帰投する」
すると徐ろにグフ・カスタムがこちらへと向き通信を開いてきた
?『お前達、現在デリートペインって部隊であってるよな?』
ナギ『は、はいそうですが…』
?『私はあんたらの部隊に転属する予定のパイロットだ…この辺はあのタヒに神部隊がうろついてたからな、こちらから合流しに来た』
ナギ『そういうことでしたか、それなら取り敢えずギャロップへと着艦してください』
?『了解…後から隊長も来るはずだから、把握を』
ナギ『了解』
こいつが隊長じゃないのか…?
今の会話を聞き、うちの隊へと転属するパイロットということは分かった
先程の戦闘からして、コイツが隊長だろうと予想していたが、どうやら違うらしい
マイア砲(てことは新隊長はもっと凄い技量の持ち主なんだろうな…)
俺は期待と興味でいっぱいになる気持ちを抑え、ギャロップへと戻った
【小説】ガンダムアライブ
270. seed 2014年3月6日 17:19:49 ID[NCScCrDq]
───────────
ボレリー「俺が新しくここの小隊長をすることになったボレリーだ、まぁよろしく頼むよ」
俺はギャロップに帰還したあとブリッジで新隊員二名を迎えていた
ボレリーと名乗った男はあとからやってきた新隊長で、少年の面影を残した顔立ちの青年、と言う感じだ
ボレリー「んでこっちのブスっとしてんのが…」
唐沢「……唐沢」
ボレリー「ま、よろしくしてやってくれ」
マイア砲「はぁ?まさかそいつがさっきのグフ・カスタムのパイロットかよ?」
俺は唐沢とだけ名乗りずっと顔をそむけている新隊員へと詰め寄った
唐沢「…なんだよ、あんた」
マイア砲「お前…どうみてもガキじゃねえか…身長的に…つか、女?」
そう言われ唐沢は本気でイラついた顔をする
唐沢「はぁぁ?あんた見る目ないのか?私はあんたらと同年代でしかも男だ!どんな目してんだよバカか!」
唐沢はマイア砲達と同年代と言ったが、見た目はそれにそぐわない小柄な体型をしている
中学生くらいの見た目だ
【小説】ガンダムアライブ
271. seed 2014年3月6日 17:20:45 ID[NCScCrDq]
マイア砲「んだとぉ!?新隊員のくせにさっきからブスっとしやがってよぉ!戦闘が終わったあとはあんなぺちゃくちゃ喋ってたくせに!」
唐沢「今みたいな態度をとってたのはあんたみたいなやつがいたからだよ!なんだよあの戦闘の仕方!機体に負担をかけすぎだろ!」
マイア砲「うるせぇ!どう戦おうと俺の勝手だろ!」
朱希羅「…その点に関しては僕も唐沢さんと同意見ですが」
マイア砲「朱希羅…てめぇ…」
ナギ「皆さんそこまでにしてください、うるさいです」
荒れてきた状況を見かねてナギが口だけで止めに入る
ナギ「隊長も…新しくここの隊長になるのならこういうことも面倒見てください」
ボレリー「あぁすまんね、なんせ今までずっと二人でやってきたもんで」
【小説】ガンダムアライブ
272. seed 2014年3月6日 17:21:35 ID[NCScCrDq]
ナギ「はぁ……」
ナギが大きく溜め息をついていた
実はコイツの方が隊長に向いているんじゃないだろうか
ボレリー「あぁそういやここに転属するにあたって任務を請け負ってたんだわ」
ボレリーが思い出したようにいう
完全に忘れてたようだ
マイア砲「何忘れてんだよ隊長だろ…」
ボレリー「いやーすまんすまん」
朱希羅が最早諦めた様に聞く
朱希羅「それで、任務の内容は一体?」
ボレリー「あぁ、今度俺達の任務内容は────」
「ガンダムアライブ後編近日更新」
151. seed 2014年2月4日 23:14:32 ID[NCScCrDq]
───────────────
ナギ「ギャロップ、発進します」
ギャロップは味方との合流ポイントのニューヤークへと向けて移動を開始した
そこに新隊員の二人がいるらしい
朱希羅「なんで隊長不在の僕らが直接行かないとならないんですかね…普通なら向こうからよこしてくれるでしょうに」
ナギ「まぁ、上も色々と忙しいんじゃないんですか?ジャブローの方で手一杯なんでしょうよ」
朱希羅「全く…」
マイア砲「んなことより敵の心配はないのか?奇襲専門部隊の要のナハトがない俺たちが攻撃を受けたら人たまりもないぞ?」
ナギ「それは…そうならないことを祈りましょう」
朱希羅「…一応ザクⅡの整備をしてきます」
マイア砲「ジリ貧だなこりゃ…」
それだけ呟き俺もドム・トローペンの整備のため朱希羅に続き格納庫へ向かった
【小説】ガンダムアライブ
156. Build seed 2014年2月7日 14:18:51 ID[NCScCrDq]
───────────────
マイア砲「ふわぁぁ……」
俺は大きなあくびをした
気がつけば夜になっている
一度MSの整備をしてみると改良点が次々と見つかり躍起になってしまっていた
取り敢えずドム・トローペンにガトリングキャノンを装備できるように改良した
今までは機動性の低下や取り回しの問題で装備できずにいたが、これで戦術の幅が広がる
本当ならドム・バラッジがあれば話は早いのだが
マイア砲「取り敢えず、ブリッジに行くか…」
朱希羅はとっくの前にザクⅡの整備を終わらせて何処かへと行ってしまった
俺はコクピットから飛び降りブリッジへと向かう通路を渡る
と、次の瞬間
大きな爆発音と共に艦が揺れた
マイア砲「な、なんだ!?まさか攻撃!?」
俺はもう一度コクピットに戻りブリッジと通信を取る
マイア砲「おいブリッジ!なんだ今のは!」
すると直ぐにモニターにナギが映る
【小説】ガンダムアライブ
157. Build seed 2014年2月7日 14:19:50 ID[NCScCrDq]
ナギ『待ってください、今確認しています……どうやら多数の機雷に接触したようです』
朱希羅『機雷…まさか…!? 』
モニターに映るブリッジの奥で朱希羅が愕然としている
そして朱希羅は激しく焦った様子でナギに言う
朱希羅『今すぐこの区域から離れてください!手遅れになる!』
ナギ『え…?あ、はい、取り敢えず敵の攻撃を警戒しつつニューヤークへ向かいます』
朱希羅『いや…警戒するだけ無駄です…第一戦闘配備の方がいい』
マイア砲「お、おい朱希羅!何そんなに慌ててんだよ…一体なんなんだ?」
朱希羅『恐らく僕達は…『スリーパーズ』の罠にかかったんです』
マイア砲「スリーパーズ…?」
何処かで聞いた事がある…確か…
ナギ『連邦のタヒ神部隊』
俺の思考を遮るようにナギが言った
タヒ神部隊…
ナギ『遊撃部隊でもなく独立小隊でもなく狩り専門の部隊という…』
朱希羅『そうです、奴らは昼間は行動しないが夜になるとそこらじゅうに機雷をばら撒く…そして獲物がかかるのを待つ…』
ナギ『ミノフスキー粒子が超高濃度で散布されています!』
ナギの情報を聞き、朱希羅は納得した表情で話を続ける
【小説】ガンダムアライブ
158. Build seed 2014年2月7日 14:21:29 ID[NCScCrDq]
朱希羅『獲物がかかるとミノフスキー粒子を散布しつつ直行、そしてそのまま狩る…』
マイア砲「で、でもよ、それならただ単に夜に奇襲を受けるのと同じじゃないのか?」
朱希羅『いや…奴らの特徴的なところは、艦もMSも全て黒一色でカラーリングされていることです』
ナギ『黒…ですか』
朱希羅『はい…ドムのようなカラーリングとは違い、純粋に黒のみで塗装されています、夜暗い中、ミノフスキー粒子でレーダーも使えない状況での戦闘…まさにタヒ神そのものです』
マイア砲「なんだよそれ…かなりヤバイじゃねえか!」
朱希羅『ヤバイで済む話じゃないですよ…くそ!まさかこんな所で遭遇するなんて…』
ナギ『しかもこちらは隊長不在の為指揮官もいない…』
マイア砲「…各々の判断で戦うしかねぇな」
【小説】ガンダムアライブ
159. Build seed 2014年2月7日 14:22:17 ID[NCScCrDq]
朱希羅『ですね…取り敢えず、早急にMSの発進を、僕もすぐに出ます』
マイア砲「そうだな…ドム・トローペンの整備は終わってる、俺はこのまま出るぞ!ハッチ開けてくれ」
ナギ『了解しました!』
開いていくハッチを眺めながら思う
こんなところでタヒわけには行かない…
意地でも生き残ってみせる
ハッチが完全に開いた
俺は機体を夜の廃墟に駆らせた
【小説】ガンダムアライブ
173. seed 2014年2月11日 20:15:59 ID[NCScCrDq]
──────────
出撃してから5分が経った
俺は機体を廃ビルを背に隠していた
今の所敵の姿は見えない
いや、見えていないだけかもしれない
マイア砲「はぁ…はぁ…はぁ…」
俺は緊張で息が上がっている
今目の前に敵が現れたら心臓が破裂するかもしれない
マイア砲(何処だ…何処にいる…!)
機体のモノアイを上下左右に動かす
が、未だに敵は見当たらない
朱希羅も既に出ているころだろうが、戦闘音が聞こえないということはまだ敵と接触していないということだろう
マイア砲「ふぅ……はぁぁ…」
一度大きな深呼吸をする
このまま待っていてもすぐにギャロップの位置が特定される
動くしかない
俺は操縦桿を倒した
物音を立てないようにゆっくりと移動する
その時、
遠くで何が光った
【小説】ガンダムアライブ
174. seed 2014年2月11日 20:16:35 ID[NCScCrDq]
マイア砲「ッ!」
俺は反射的にペダルを踏み込みその場を離れる
と、次の瞬間
ついさっきまでいた場所に弾丸が通過した
マイア砲「そこかッ!」
弾丸が飛んできた方向に、何か黒い影が見えた
俺はガトリングを向け乱射するが、手応えがない
マイア砲「隠れたか…!」
すると朱希羅から無線が入る
朱希羅『マイア砲!迂闊に打たないでください!こう暗いとガトリングの銃撃光は目立ちます!』
マイア砲「わかってる…!お前の方はどうなんだ、敵は見つけたのか?」
朱希羅『いえ…まだ…敵の数も把握できてません…』
マイア砲「くそッ!奴ら…じわじわとプレッシャーで俺たちをやりにきてる…」
朱希羅『ですね…飲まれないようにいきましょう、なるべくギャロップから離れないように』
マイア砲「あぁ…そうだな…」
【小説】ガンダムアライブ
186. seed 2014年2月11日 23:10:13 ID[NCScCrDq]
朱希羅『索敵しつつラインをあげます、後ろに回り込まれないように注意してください』
マイア砲「お前もな…………ッ!?」
俺と朱希羅がいたところに一条のビームが煌めいた
俺はそれをしゃがんで避け、朱希羅はジャンプして回避した
が、よけきれなかった
ビームが朱希羅を追うように揺れた
マイア砲(照射ビームかッ!)
空中に逃げた朱希羅のザクⅡの片脚をビームが薙いだ
朱希羅『うわっ!?』
そのままバランスを崩し派手な音と共に朱希羅のザクⅡが墜落する
マイア砲「くそ!」
次こそは見逃さないようにと機体をビームのした方へ振り向かせる
一際高いビルの上から狙撃された
今度はしっかりとMSの種類まで確認できた
ジム・スナイパー
やはり黒一色で塗装されている
すると敵は今にもビルから降り隠れようとしていた
ガトリングだと精度が悪い
俺は左腰に装備されているシュツルム・ファウストを抜き放ち発射する
弾の軌道は微妙に反れビルに命中した
その隙にジム・スナイパーはビルを降りてしまった
だが廃ビルということもあり、爆発物をモロに当てられた高層ビルは盛大な音を立て崩れ落ちる
マイア砲(やったか?)
【小説】ガンダムアライブ
193. seed 2014年2月12日 1:02:32 ID[NCScCrDq]
次の瞬間、機体が大きく揺れた
マイア砲「ぐっ……!」
激しい衝撃で息に詰まる
後ろから撃たれた
マイア砲(後ろだと!?)
つい先程朱希羅に警告されたばかりだというのに、バカすぎる
後ろのすぐそばで光が揺らめいた
光の正体は…
黒いジム・ストライカーが振りかぶったツインビームスピアだった
敵が今にもこちらに斬りかかろうとしていた
マイア砲「やらせるかよ!!」
俺は機体を振り向かせながら左腕でガラ空きのボディに裏拳を決めた
よろめいた敵に零距離でガトリングを接射する
マイア砲「ウェラブルアーマーがあろうとこの距離ならぁ!」
ガトリングの接射と連射をくらい倒れ伏す敵に弾丸を浴びせ続ける
しばらくして敵が動かなくなるのを確認して撃つのをやめる
マイア砲「はぁ…はぁ…はぁ…」
息を整え、周りの状況を確認する
敵の攻撃は今のところない
今度こそ周囲を確認しながら、墜落した朱希羅の方へと向かう
【小説】ガンダムアライブ
194. seed 2014年2月12日 1:03:15 ID[NCScCrDq]
マイア砲「おい朱希羅ぁ、大丈夫か?」
朱希羅『はい…なんとか…脚をやられたから戦闘は無理ですが…』
ノイズ混じりに聴こえた声には申し訳なさが含まれていた気もする
マイア砲「仕方ねえ…ギャロップに迎えに来てもらうか…」
俺はギャロップと通信し位置情報を送る
五分もせずにこちらへ来るだろう
朱希羅『しかし…貴方の戦い方は見てて怖いですねえ…』
マイア砲「仕方ねーだろ奇襲なんだから、それに被弾してるのはお前の方だっつーの」
朱希羅『それを言われると痛いですね』
そんな会話をしているとギャロップが見えた
ナギ『ギャロップ、予定ポイントに到着、これより朱希羅さんを回収します』
朱希羅『了解』
マイア砲(これからどうすっかな…)
戦える機体は一機のみ
残りの敵の数も分からないで未だにいつ後ろから撃たれるか分からない状況だ
俺もギャロップに帰投し敵の攻撃が止んでる状態で全速力でこの場を去るか…
俺が頭を悩ませていると、地面が揺れた
【小説】ガンダムアライブ
195. seed 2014年2月12日 1:04:09 ID[NCScCrDq]
マイア砲「うわっ、な、なんだ!?」
ナギ『この揺れは…爆撃?』
朱希羅『ギャロップ!照明弾を!』
ナギ『え、し、しかし…』
朱希羅『早く!』
ナギ『は、はい!』
照明弾は相手の位置を割り出すこともできるが、その逆もまた然り
だがこれ以上先手をうたれ続けるなら少しでも対応できた方がマシだと判断したのだろう
ギャロップから照明弾が発射され、辺りを煌々と照らす
しかし、俺たちが見た物は到底信じられる物ではなかった
マイア砲「おい…嘘だろ…」
ナギ『こんな…こんなものが…』
朱希羅『これは…』
俺達が見た物は、黒一色に塗装された
ペガサス級強襲揚陸艦グレイファントムだった
マイア砲「これが…タヒ神部隊の正体かよ…!」
ナギ『こんなものを作っておいて…最前線に投入せずにこんなことに使うなんて…』
朱希羅『話してる暇はないですよ…逃げないと…!』
グレイファントムの砲塔がこちらへ向けられ、今にも撃たれようとしていた
【小説】ガンダムアライブ
237. seed 2014年2月18日 22:08:12 ID[NCScCrDq]
マイア砲「くっそ…」
今からギャロップで砲撃するにしても間に合わないし、
どれだけ対応しようと大きな被害は免れることはできない
マイア砲「何か、何か方法は…」
何か手はないかと周りを探していた、その時
突然グレイファントムの砲塔がくるりと向きを変え、別方向へ砲撃を始めた
マイア砲「な、なんだ…」
朱希羅『一体どこを狙って…?』
よく目を凝らしてみると、グレイファントムが砲撃している方向に何か動くものを見て取れた
朱希羅『MS?にしては動きが…』
その謎の機体は空中をサーカスのように飛び回り砲弾をくるりくるりとかわしている
その機体は腕からワイヤーのようなものをだし建物から建物へと飛び移りながら移動していた
【小説】ガンダムアライブ
238. seed 2014年2月18日 22:08:27 ID[NCScCrDq]
マイア砲「グフ・カスタムか…!」
グフ・カスタムはヒートロッドを巧みに扱い砲撃を避けながらグレイファントムへと接近していた
するとグレイファントムのカタパルトから三機のMSが出るのが見えた
マイア砲「マズイ…!ギャロップ!俺はあのグフ・カスタムの援護に行ってくる!」
ナギ『り、了解しました!』
俺は機体を敵へと向けて駆らせた
おそらく応援に来てくれたのであろう味方を見捨てるわけにはいかない
【小説】ガンダムアライブ
254. seed 2014年2月28日 22:38:29 ID[NCScCrDq]
はっきりとグフ・カスタムを認識できるところまできた
マイア砲「おいあんた!一人じゃきついぞ、援護する!」
グフ・カスタムのパイロットは俺の呼びかけには応えなかった
代わりにモノアイだけでこちらを一瞥した
グフ・カスタムは目の前に迫る三機の敵MSに怯むことなく突っ込んで行く
マイア砲「お、おい!」
俺は呼び止めようとするが、パイロットからの応答はない
【小説】ガンダムアライブ
255. seed 2014年2月28日 22:39:25 ID[NCScCrDq]
敵は三機とも黒一色に塗装された陸戦型ガンダム
グフ・カスタムは右前方にいるミサイルランチャー装備の陸戦型ガンダムに向かった
突撃してくるグフ・カスタムを見、敵もミサイルランチャーで応戦しようとする
だがグフ・カスタムは敵がミサイルランチャーを構えた時にには既に懐に潜り込んでいた
白熱化させたヒート剣を縦に振り上げ陸戦型ガンダムを左右に両断した
この間わずか3秒
残り二機
グフ・カスタムは味方が撃破されたのを見て突っ込んできたもう一機の陸戦型ガンダムへと対峙する
陸戦型ガンダムはビームサーベルを抜き放ち振りかぶってくる
だがグフ・カスタムはそれを軽々と避けヒート剣を胴体へと突き立てる
そしてそしてそのまま、今にもビームライフルを撃とうとしていたもう一機の陸戦型ガンダムへと投げ付けた
ここまでで8秒
飛んできた味方機をくらい、二機ともその場に倒れ伏した
その二機にグフ・カスタムはガトリングシールドの弾を浴びせる
二機の陸戦型ガンダムは為すすべもなくそのまま撃破され、闇夜で盛大な爆発を起こした
三機の陸戦型ガンダムを撃破するのにかかった時間は、計13秒
俺は驚きでその場に突っ立っていた
【小説】ガンダムアライブ
256. seed 2014年2月28日 22:40:14 ID[NCScCrDq]
その時丁度ナギから通信が入った
ナギ『隊長、敵のグレイファントムは撤退を始めました…なんとかこの場は凌ぎましたよ、お疲れさまでした』
マイア砲「あ、あぁ…帰投する」
すると徐ろにグフ・カスタムがこちらへと向き通信を開いてきた
?『お前達、現在デリートペインって部隊であってるよな?』
ナギ『は、はいそうですが…』
?『私はあんたらの部隊に転属する予定のパイロットだ…この辺はあのタヒに神部隊がうろついてたからな、こちらから合流しに来た』
ナギ『そういうことでしたか、それなら取り敢えずギャロップへと着艦してください』
?『了解…後から隊長も来るはずだから、把握を』
ナギ『了解』
こいつが隊長じゃないのか…?
今の会話を聞き、うちの隊へと転属するパイロットということは分かった
先程の戦闘からして、コイツが隊長だろうと予想していたが、どうやら違うらしい
マイア砲(てことは新隊長はもっと凄い技量の持ち主なんだろうな…)
俺は期待と興味でいっぱいになる気持ちを抑え、ギャロップへと戻った
【小説】ガンダムアライブ
270. seed 2014年3月6日 17:19:49 ID[NCScCrDq]
───────────
ボレリー「俺が新しくここの小隊長をすることになったボレリーだ、まぁよろしく頼むよ」
俺はギャロップに帰還したあとブリッジで新隊員二名を迎えていた
ボレリーと名乗った男はあとからやってきた新隊長で、少年の面影を残した顔立ちの青年、と言う感じだ
ボレリー「んでこっちのブスっとしてんのが…」
唐沢「……唐沢」
ボレリー「ま、よろしくしてやってくれ」
マイア砲「はぁ?まさかそいつがさっきのグフ・カスタムのパイロットかよ?」
俺は唐沢とだけ名乗りずっと顔をそむけている新隊員へと詰め寄った
唐沢「…なんだよ、あんた」
マイア砲「お前…どうみてもガキじゃねえか…身長的に…つか、女?」
そう言われ唐沢は本気でイラついた顔をする
唐沢「はぁぁ?あんた見る目ないのか?私はあんたらと同年代でしかも男だ!どんな目してんだよバカか!」
唐沢はマイア砲達と同年代と言ったが、見た目はそれにそぐわない小柄な体型をしている
中学生くらいの見た目だ
【小説】ガンダムアライブ
271. seed 2014年3月6日 17:20:45 ID[NCScCrDq]
マイア砲「んだとぉ!?新隊員のくせにさっきからブスっとしやがってよぉ!戦闘が終わったあとはあんなぺちゃくちゃ喋ってたくせに!」
唐沢「今みたいな態度をとってたのはあんたみたいなやつがいたからだよ!なんだよあの戦闘の仕方!機体に負担をかけすぎだろ!」
マイア砲「うるせぇ!どう戦おうと俺の勝手だろ!」
朱希羅「…その点に関しては僕も唐沢さんと同意見ですが」
マイア砲「朱希羅…てめぇ…」
ナギ「皆さんそこまでにしてください、うるさいです」
荒れてきた状況を見かねてナギが口だけで止めに入る
ナギ「隊長も…新しくここの隊長になるのならこういうことも面倒見てください」
ボレリー「あぁすまんね、なんせ今までずっと二人でやってきたもんで」
【小説】ガンダムアライブ
272. seed 2014年3月6日 17:21:35 ID[NCScCrDq]
ナギ「はぁ……」
ナギが大きく溜め息をついていた
実はコイツの方が隊長に向いているんじゃないだろうか
ボレリー「あぁそういやここに転属するにあたって任務を請け負ってたんだわ」
ボレリーが思い出したようにいう
完全に忘れてたようだ
マイア砲「何忘れてんだよ隊長だろ…」
ボレリー「いやーすまんすまん」
朱希羅が最早諦めた様に聞く
朱希羅「それで、任務の内容は一体?」
ボレリー「あぁ、今度俺達の任務内容は────」
「ガンダムアライブ後編近日更新」